両国のここまでのグループリーグ戦
ポルトガルは初戦でドイツに敗れて黒星スタートとなったが、2戦目のデンマーク戦を3-2で勝利して、3戦目のオランダ戦を迎えることになった。一方、オランダは初戦のデンマーク戦、2戦目のドイツ戦を落としてまさかの連敗を喫して3戦目のポルトガル戦を迎えることになった。
大会前からグループBは最激戦区の死の組と評判だったが、2戦目を終えた段階での順位は、ドイツが勝負強さを発揮して2連勝し、ポルトガルとデンマークが1勝1敗で並び、オランダが連敗で最下位に沈んでいた。最終戦を前に全てのチームにグループリーグ突破、敗退の可能性が残されていた。
試合
両チーム負けられない一戦(特にオランダは自力突破は出来ず、自らが勝利した上でドイツーデンマーク戦の結果次第)は、オランダが主導権を握って始まった。ポルトガル陣内でボールを回していき、早々の11分に右サイドからカットインしてきたロッベンが横にいたファン・デル・ファールトに渡し、そのままペナルティエリア外から見事なミドルシュートを決めてオランダが先制した。
開始から防戦一方だったポルトガルは15分、左サイドからモウチーニョがC・ロナウドにスルーパスを通し、そのままシュートレンジまで運んでシュートを撃つがわずかに枠を外れてゴールはならなかった。しかし、ここからポルトガルがボールをキープして主導権を奪い、ポスティガ、メイレレス、C・ロナウドが立て続けにオランダゴールを脅かしていった。
迎えた前半28分、右サイドでボールを受けたJ・ペレイラが中へ切り込んで、オフサイドラインを抜け出したC・ロナウドにスルーパスを通し、これをC・ロナウドが落ち着いてゴールに押し込みポルトガルが同点に追いついた。その後もC・ロナウドがミドルシュート、CKからのヘディング等でオランダゴールを襲ったがゴールを割ることは出来なった。結局前半は1-1のまま終了し、ポルトガル優勢で折り返しを迎えることになった。
後半立ち上がりは両チーム膠着状態が続いていたが、次第にポルトガルがペースを掴んでいった。後半59分右サイドからのクロスをペペが頭で落とし、C・ロナウドのシュートをポスティガが合わせてゴールを割ったがオフサイドの判定でゴールならず。さらに65分、C・ロナウドが自陣エリアからドリブルで持ち込み、コエントランにパスを出してシュートを撃つがGKステケレンブルグが好セーブで防いだ。
C・ロナウドを中心にしたポルトガルの攻撃に得点の臭いがしてきた後半71分、自陣エリアでボールをカットしたポルトガルがモウチーニョ、ナニ、C・ロナウドと繋げて、最後はC・ロナウドがきっちりゴールに押し込んで勝ち越しに成功した。まさに電光石火のカウンターが見事に決まった得点だった。
その後はポルトガルがカウンターに切り替えたこともあり、オランダにもチャンスがまわってきたが、82分のファン・デル・ファールトのミドルシュートはポストを叩き、88分のファン・ペルシーのシュートは枠を外れた。このまま試合は2-1でポルトガルの勝利で終わり、同時刻開催のドイツーデンマークはドイツが勝ったため、ポルトガルは2位でグループリーグを突破し、オランダはグループリーグ敗退が決まった。
グループBの最終結果とその後の両国
死の組と言われたグループBは意外にも引き分け試合が一つもなく、きれいに順位が決まった。3戦全勝のドイツが1位、2勝1敗のポルトガルが2位で、この2チームがグループリーグを突破して準々決勝に進出した。そして1勝2敗のデンマークが3位、3戦全敗のオランダが4位で、この2チームはグループリーグ敗退で姿を消した。
ポルトガルは準々決勝でチェコを下して準決勝に進出し、準決勝でディフェンディングチャンピオンにしてワールドカップチャンピオンのスペインとスコアレスのPK戦の末に敗れてベスト4に終わった。
2年前のワールドカップで準優勝し、優勝候補の一角として大会に臨んだオランダはまさかの3戦全敗に終わった。大会後ファン・マルヴァイク監督が辞任し、新監督には2度目の代表監督となるファン・ハールが就任した。1度目の代表監督時代は2002年のワールドカップ日韓大会の欧州予選で敗退して屈辱を味わったが、2度目の今回は2014年のワールドカップブラジル大会の出場を目指してリベンジを期することになる。
オランダと死の組
ワールドカップの準優勝3回、EURO優勝1回などヨーロッパ有数のサッカー大国・オランダ。ビッグトーナメントの常連国であるオランダは、不思議と死の組に組み込まれることが多いチームである。
特にEUROでは2000年から続いており、EURO2000はフランス、チェコ、デンマークと同組、EURO2004はドイツ、チェコ、ラトヴィアと同組、EURO2008ではイタリア、フランス、ルーマニアと同組になり、今回はドイツ、ポルトガル、デンマークと同組になった。最終戦績は、EURO2000とEURO2004がベスト4で、EURO2008はベスト8まで進出しており、今回のグループリーグ敗退はEURO1980以来2度目で、3戦全敗は史上初の出来事だった。
出場選手(ポルトガル)
GK 12 R・パトリシオ 2012年、2016年のEUROに出場。
DF 21 J・ペレイラ 2012年のEUROに出場。
DF 2 B・アウヴェス 2008年、2012年、2016年のEUROに出場。
DF 3 ペペ 2008年、2012年、2016年、2020年のEUROに出場。2000年代から2020年代前半のポルトガルを代表する名ディフェンダー。
DF 5 F・コエントラン 2012年のEUROに出場。
MF 16 R・メイレレス ▼72分 2008年、2012年のEUROに出場。
MF 4 M・ヴェローゾ 2008年、2012年のEUROに出場。
MF 8 J・モウチーニョ 2008年、2012年、2016年、2020年のEUROに出場。
FW 17 ナニ ▼87分 2008年、2012年、2016年のEUROに出場。2000年代後半から2010年代のポルトガルを代表するウインガー。
FW 23 H・ポスティガ ▼64分 2004年、2008年、2012年のEUROに出場。
FW 7 C・ロナウド Ⓒ もはや説明不要の超ド級のスーパースター。
FW 11 N・オリヴェイラ △64分 2012年のEUROに出場。
MF 6 クストディオ △72分 2012年のEUROに出場。
DF 14 ロランド △87分 2012年のEUROに出場。
監督 P・ベント 2000年のEUROに選手として出場しベスト4に進出、2012年のEUROに監督として出場しベスト4に進出。
出場選手(オランダ)
GK 1 M・ステケレンブルグ 2012年、2020年のEUROに出場。
DF 2 G・ファン・デル・ヴィール 2012年のEUROに出場。
DF 13 R・フラール 2012年のEUROに出場。
DF 4 J・マタイセン 2008年、2012年のEUROに出場。
DF 15 J・ウィレムス ▼67分 2012年のEUROに出場。
MF 8 N・デ・ヨング 2008年、2012年のEUROに出場。
MF 23 R・ファン・デル・ファールト Ⓒ 2004年、2008年、2012年のEUROに出場。2000年代から2010年代のオランダを代表するミッドフィルダー。
MF 10 W・スナイデル 2004年、2008年、2012年のEUROに出場。2000年代から2010年代のオランダを代表するオフェンシブミッドフィルダー。
FW 11 A・ロッベン 2004年、2008年、2012年のEUROに出場。2000年代から2010年代のオランダを代表するワイドアタッカー。
FW 16 R・ファン・ペルシー 2008年、2012年のEUROに出場。2000年代から2010年代のオランダを代表するストライカー。
FW 9 K・フンテラール 2008年、2012年のEUROに出場。
MF 20 I・アフェライ △67分 2008年、2012年のEUROに出場。
監督 B・ファン・マルヴァイク 2012年のEUROに監督として出場。
試合結果
ポルトガル 2-1 オランダ
得点 R・ファン・デル・ファールト(オランダ) 11分
C・ロナウド(ポルトガル) 28分
C・ロナウド(ポルトガル) 74分