両国の大会前の予選
ドイツは予選グループAに入り、10戦全勝の圧倒的強さで首位で予選を突破してきた。当然今回も優勝候補の筆頭として本大会に出場してきたわけだが、チーム構成は4年前のEURO、2年前のワールドカップと変わらず、指揮を執るのもレーヴ監督のままである。
一方、ポルトガルは予選グループHに入り、最終戦でデンマークに競り負けてグループ2位になり、プレーオフに回ることになった。そしてプレーオフでボスニア・ヘルツェゴビナを下して、ようやく本大会の出場に漕ぎつけてきた。チームの中心はもちろんエースC・ロナウドで、彼の出来次第にチームの命運はかかっていた。
本大会組み合わせの結果、グループBには両国とデンマーク、そして2年前のワールドカップ準優勝のオランダと今大会最激戦区の死の組となった。そして両国はグループリーグ初戦で対戦することになった。
試合
試合は互角の攻防で進んでいくが、ボールをキープしていたのはドイツの方だった。立ち上がりからゴメスやポドルスキーがシュートを撃って、ペースを掴んでいく。ドイツの攻撃はパスを丁寧に繋いでいき、ポルトガルディフェンスのマークがズレたところを狙っていた。一方、ポルトガルはドイツ攻撃のパスをカットして、C・ロナウドに預けてからのカウンターでチャンスを構築していた。
ドイツの攻撃の方が多彩でチャンスをより多く作っていたが、前半終了間際の44分、ポルトガルに決定的シーンが訪れた。右サイドのCKからのこぼれ球をペペがシュートを放つと、クロスバーを叩き真下に落ちるが惜しくもゴールラインは割っていなかった。結局、前半はスコアレスのまま終了した。
後半も同じ展開で進んでいき、迎えた後半72分、左サイドでボールをキープしたドイツはパス回しからケディラがゴール前にクロスを上げると、ゴメスがヘディングでゴールに押し込んでドイツが先制点を挙げた。
先制されたポルトガルは反撃に出ていき、83分にナニがゴール前に上げたボールがクロスバーを直撃したが、惜しくもゴールはならず、さらに87分、交代出場したヴァレラがフリーでシュートを撃ったが、GKノイアーのファインセーブに合いゴールはならなかった。
このまま試合は1-0で終了し、ドイツが白星発進で大会のスタートを切ることになった。注目のC・ロナウドはマッチアップしたボアテングに要所を抑えられ、決定的な仕事はあまり出来なかった。
両国のその後のEURO2012
この両国は、その後もグルーリーグを突破し準決勝まで進出することになる。ドイツは死の組と言われたグループBを3戦全勝で突破し、準々決勝ではギリシャとの点の取り合いを4-2で制して準決勝に進出した。しかし、準決勝で天敵イタリアの前に1-2で敗れて敗退しEUROを制することは出来なかった。
一方、ポルトガルはドイツには敗れたが、残る2戦を2勝で乗り切りグループリーグを2位で通過した。準々決勝でチェコをC・ロナウドのゴールで1-0で下し、準決勝ではディフェンディングチャンピオンにしてワールドカップチャンピオンのスペインと激しい死闘を繰り広げたが、スコアレスのPK戦の末に敗れてベスト4で敗退した。
本大会後の両国
ドイツは優勝候補の筆頭として臨んだEURO2012を準決勝で敗退し、目標を次なるビッグトーナメントの2014年のワールドカップブラジル大会に切り替えることになる。そして再び優勝候補の一角としてワールドカップに挑み、見事優勝を飾ることになる。ちなみにこの大会でも初戦でポルトガルと対戦して、4-0の快勝でスタートし優勝に向けてばく進していくことになる。
ポルトガルは、2年後のワールドカップブラジル大会はグループリーグ敗退に終わるが、4年後のEUROフランス大会では組み合わせに恵まれたこともあるが、決勝に進出して開催国のフランスとの決戦を制してEUROを制覇することになる。
つまりこの両国は、この大会はベスト4に終わったが、その後のビッグトーナメントをそれぞれドイツとポルトガルが制することになる。
出場選手(ドイツ)
GK 1 M・ノイアー 2012年、2016年、2020年のEUROに出場。2000年代後半から現在に至るまでドイツを代表する史上最高のゴールキーパーの一人。
DF 20 J・ボアテング 2012年、2016年のEUROに出場。2000年代後半から2020年代前半のドイツを代表するディフェンダー。
DF 5 M・フンメルス 2012年、2016年、2020年のEUROに出場。2000年代後半から現在に至るまでドイツを代表する名ディフェンダー。
DF 14 H・バトシュトゥバー 2012年のEUROに出場。
DF 16 F・ラーム Ⓒ 2004年、2008年、2012年のEUROに出場。2000年代から2010年代のドイツを代表する左サイドバック。
MF 6 S・ケディラ 2012年、2016年のEUROに出場。2000年代後半から2020年代前半のドイツを代表するミッドフィルダー。
MF 7 B・シュバインシュタイガー 2004年、2008年、2012年、2016年のEUROに出場。2000年代から2010年代のドイツを代表するミッドフィルダー。
MF 13 T・ミュラー ▼94分 2012年、2016年、2020年のEUROに出場。2000年代後半から現在に至るまでドイツを代表するアタッカー。
MF 8 M・エジル ▼87分 2012年、2016年のEUROに出場。2000年代後半から2020年代前半のドイツを代表するオフェンシブミッドフィルダー。
MF 10 L・ポドルスキー 2004年、2008年、2012年、2016年のEUROに出場。2000年代から2010年代のドイツを代表するアタッカー。後にJ・リーグのヴィッセル神戸に選手として在籍。
FW 23 M・ゴメス ▼80分 2008年、2012年、2016年のEUROに出場。
FW 11 M・クローゼ △80分 2004年、2008年、2012年のEUROに出場。2000年代から2010年代前半のドイツを代表するストライカー。
MF 18 T・クロース △87分 2012年、2016年、2020年のEUROに出場。2000年代後半から現在に至るまでドイツを代表するミッドフィルダー。
MF 15 L・ベンダー △94分 2012年のEUROに出場。
監督 J・レーヴ 2006年から15年間ドイツ代表監督を務めたドイツを代表する史上最高の監督の一人。2008年、2012年、2016年、2020年のEUROに監督として出場。
出場選手(ポルトガル)
Gk 12 R・パトリシオ 2012年、2016年のEUROに出場。
DF 21 J・ペレイラ 2012年のEUROに出場。
DF 2 B・アウヴェス 2008年、2012年、2016年のEUROに出場。
DF 3 ペペ 2008年、2012年、2016年、2020年のEUROに出場。2000年代から2020年代前半のポルトガルを代表する名ディフェンダー。
DF 5 F・コエントラン 2012年のEUROに出場。
MF 16 R・メイレレス ▼80分 2008年、2012年、2016年のEUROに出場。
MF 4 M・ヴェローゾ 2008年、2012年のEUROに出場。
MF 8 J・モウチーニョ 2008年、2012年、2016年、2020年のEUROに出場。
FW 17 ナニ 2008年、2012年、2016年のEUROに出場。2000年代後半から2010年代のポルトガルを代表するウインガー。
FW 23 H・ポスティガ ▼70分 2004年、2008年、2012年のEUROに出場。
FW 7 C・ロナウド Ⓒ もはや説明不要の超ド級のスーパースター。
FW 11 N・オリヴェイラ △70分 2012年のEUROに出場。
FW 18 S・ヴァレラ △80分 2012年のEUROに出場。
監督 P・ベント 2000年のEUROに選手として出場しベスト4に進出、2012年のEUROに監督として出場しベスト4に進出。
試合結果
ドイツ 1-0 ポルトガル
得点 M・ゴメス(ドイツ) 72分