大会前の両国の関連性
両国は4年前のEURO2000でも同組に入って対戦しており、開催国のオランダが1-0でチェコを下していた。その後、2002年日韓ワールドカップの欧州予選で敗退し、ともに本大会出場を逃していた。再起を図って挑むEURO2004の予選で、両国はグループ3に組み込まれ、その時はチェコが1勝1分で勝ち越している。
そして本大会組み合わせ抽選会で、またしても両国はグループDに組み込まれてしまった。グループDには両国のほかにドイツとラトヴィアが入り、前回に引き続き、死のグループとなってしまった。
試合
このカードはグループ第2戦にあたり、初戦のオランダはドイツと1-1の引き分けで勝点1を獲得し、チェコはラトヴィアを2-1と逆転で下して勝点3を挙げていた。この両国とドイツを加えた3カ国で激しい争いが繰り広げられるとみていた。
試合はキックオフから激しく動き早々の4分、オランダが右サイドでFKを獲得し、ロッベンがゴール前にクロスを上げるとバウマが頭で合わせてゴールに流し込み、オランダが先制点を挙げた。さらに19分、中央でボールを受けたダヴィッツがオフサイドラインぎりぎりで左サイドのロッベンにパスを出し、ロッベンがゴール前に折り返したところをファン・ニステルローイが押し込んで追加点挙げる。
思わぬ先制パンチを2発も喰らったチェコは23分、コクが中央で中途半端なパスを出したところをバロシュがカットして、そのままドリブルで持ち込んでフリーのコレルにパスを出し、これをコレルが押し込んでチェコが1点を返した。オランダにしてみれば痛い失点だったが、その後はややオランダペースで進み前半を終了した。
後半も両チームの激しい攻防が続いていたが、58分にオランダが早くも守備固めでロッベンを下げてボスフェルトをピッチに送り込んだ。そこから試合はチェコペースになっていった後半71分、左サイドからネドヴェドがゴール前のコレルにクロスを上げ、胸で落としたところをバロシュがボレーで叩き込んでチェコが同点に追いつき試合を振り出しに戻した。
さらに75分、ネドヴェドが中央をドリブルで抜け出したところをハイティンガが後ろから倒し、この日2枚目のイエローカードで退場になってしまう。このFKをネドヴェド自ら強烈なミドルシュートを撃ったが、これはGKファン・デル・サールが防ぐ。85分にも再びネドヴェドが強烈なミドルシュートを撃ったが、今度はクロスバーに阻まれてしまった。
迎えた試合終了間際の後半88分、ペナルティエリア外中央の位置からハインツがシュートを放つ。これはGKファン・デル・サールが防いだが、いち早くこぼれ球に反応したポボルスキーが、横にいたスミチェルにパスを出してゴールに押し込み、遂にチェコが試合をひっくり返した。
試合はこのまま終了しチェコが3-2の大逆転勝利で2連勝を飾り、最終戦のドイツ戦を残して早々に1位通過を決めた。一方、オランダは早めの守備固めが裏目に出て、大逆転負けを喫して自力突破が消滅し、最終戦のラトヴィア戦を自ら勝利した上で、チェコードイツ戦の結果に委ねることになった。
その後の両国
結論からいうと、この両国は準決勝まで進出しチェコはギリシャに、オランダは開催国のポルトガルにそれぞれ敗れてベスト4に終わる。同じベスト4でも好対照な勝ち上がりとなった両国。チェコはグループリーグを3戦全勝で突破し、準々決勝でもデンマークを3-0と一蹴して一躍優勝候補に挙がったが、準決勝でギリシャに延長の末、0-1で敗れて惜しくもベスト4に終わった。
オランダはグループリーグを1勝1敗1分でかろうじて突破し、準々決勝のスウェーデン戦もスコアレスのPK戦の末に勝ち上がったが、準決勝のポルトガル戦は完敗してベスト4に終わった。準決勝までで勝利したのはラトヴィア戦だけであった。
さて、この両国は次なるビッグトーナメント、2006年のドイツワールドカップの出場権を目指して欧州予選に臨むのだが、またしてもグループ1で同居することになった。チェコとオランダの死闘はまだまだ終わらない。
出場選手(オランダ)
GK 1 E・ファン・デル・サール 1996年、2000年、2004年、2008年のEUROに出場。1990年代から2010年代前半のオランダを代表する史上最高のゴールキーパー。
DF 18 J・ハイティンガ 2004年、2008年、2012年のEUROに出場。
DF 3 J・スタム 2000年、2004年のEUROに出場。1990年代から2000年代のオランダを代表する名ディフェンダー。
DF 4 W・バウマ 2004年、2008年、2012年のEUROに出場。
DF 5 G・ファン・ブロンクホルスト 2000年、2004年、2008年のEUROに出場。1990年代から2000年代のオランダを代表する左サイドバック。
MF 6 F・コク Ⓒ 2000年、2004年のEUROに出場。1990年代から2000年代のオランダを代表するユーティリティープレーヤー。
MF 20 C・セードルフ ▼86分 1996年、2000年、2004年のEUROに出場。1990年代から2010年代前半のオランダを代表するミッドフィルダー。
MF 8 E・ダヴィッツ 1996年、2000年、2004年のEUROに出場。1990年代から2000年代のオランダを代表するミッドフィルダー。
FW 7 A・ファン・デル・メイデ ▼79分 2004年のEUROに出場。
FW 10 R・ファン・ニステルローイ 2004年、2008年のEUROに出場。1990年代後半から2000年代のオランダを代表する名ストライカー。
FW 19 A・ロッベン ▼58分 2004年、2008年、2012年のEUROに出場。2000年代から2010年代のオランダを代表するワイドアタッカー。
MF 21 P・ボスフェルト △58分 2000年、2004年のEUROに出場。
DF 2 M・ライツィハー △79分 1996年、2000年、2004年のEUROに出場。1990年代から2000年代前半のオランダを代表するディフェンダー。
MF 11 R・ファン・デル・ファールト △86分 2004年、2008年、2012年のEUROに出場。2000年代から2010年代のオランダを代表するミッドフィルダー。
監督 D・アドフォカート 2004年のEUROに監督として出場。オランダ代表の監督に3度就任している事からみても実力、実績は申し分ないのだが、人気が今一つなのも事実である。
出場選手(チェコ)
GK 1 P・ツェフ 2004年、2008年、2012年、2016年のEUROに出場。2000年代から2010年代のチェコを代表する史上最高のゴールキーパーの一人。
DF 2 Z・グリゲラ ▼25分 2004年、2008年のEUROに出場。
DF 13 M・ジラネク 2004年のEUROに出場。
DF 21 T・ウイファルシ 2004年、2008年のEUROに出場。
DF 6 M・ヤンクロフスキー 2000年、2004年、2008年のEUROに出場。
MF 8 K・ポボルスキー 1996年、2000年、2004年のEUROに出場。1990年代後半から2000年代前半のチェコを代表するミッドフィルダー。
MF 10 T・ロシツキー 2000年、2004年、2012年、2016年のEUROに出場。2000年代から2010年代のチェコを代表するオフェンシブミッドフィルダー。
MF 4 T・ガラセク ▼62分 2004年、2008年のEUROに出場。
MF 11 P・ネドヴェド Ⓒ 1996年、2000年、2004年のEUROに出場。1990年代から2000年代のチェコを代表する史上最高のミッドフィルダー。2003年にバロンドール受賞。
FW 9 J・コレル ▼75分 2000年、2004年、2008年のEUROに出場。1990年代後半から2000年代のチェコを代表するフォワード。
FW 15 M・バロシュ 2004年、2008年、2012年のEUROに出場し、2004年は得点王。2000年代から2010年代のチェコを代表するアタッカー。
MF 7 V・スミツェル △25分 1996年、2000年、2004年のEUROに出場。
FW 18 M・ハインツ △62分 2004年のEUROに出場。
DF 22 D・ロゼフナル △75分 2004年、2008年のEUROに出場。
監督 K・ブリュックナー チェコを代表する名将。2004年、2008年のEUROに監督として出場し、2004年はベスト4に導いている。
試合結果
オランダ 2-3 チェコ
得点 W・バウマ(オランダ) 4分
R・ファン・ニステルローイ(オランダ) 19分
J・コレル(チェコ) 23分
M・バロシュ(チェコ) 71分
V・スミチェル(チェコ) 88分