両国の勝ち上がり状況
イタリアはグループBに入り3戦全勝で1位で通過し、準々決勝ではルーマニアを2-0と快勝してベスト4に進出してきた。一方、開催国のオランダは死の組となったグループDを、こちらも3戦全勝の1位で突破し、準々決勝ではユーゴスラヴィアを6-1で粉砕してベスト4に進出した。両チームとも4戦全勝で勝ち上がり、好調なチーム同士の激突となった。試合の展開はオランダのアタッキングサッカー対イタリアのディフェンスと至ってシンプルな構図である。
試合
試合は予想通り、というよりも予想以上にオランダがボールをキープして試合を支配していき、開始から次々とチャンスを作りシュートを浴びせていった。ゲームはほぼイタリア陣内で進んでいき、時折イタリアがカウンターを仕掛けるがオランダの一方的な展開になっていった。すると前半34分、左サイドを駆け上がったゼンデンを止めに入ったザンブロッタのタックルが、この日2枚目のイエローカードになり退場になってしまう。
残り時間を10人で戦わなけらばならなくなったイタリアに追い打ちをかけるようにその3分後、ペナルティエリア内でネスタがクライファートを倒してPKの判定になり、オランダが先制のチャンスを迎えた。ところが、F・デ・ブールのキックをGKトルドがセーブして、イタリアは窮地を脱した。このまま前半は終了し、0-0で折り返しを迎えた。印象深かったのはマルディーニとオーフェルマルスのマッチアップで、迫力があって見応えがあり、試合を通して激しいバトルを繰り広げていた。
後半もオランダがボールをキープしてイタリアがカウンターを狙う展開は変わらないが、セットプレーなどで少しづつイタリアもチャンスを作っていった。しかし、後半60分に再びオランダに先制のチャンスが訪れた。ペナルティエリア内にドリブルで侵入したダヴィッツをユリアーノが倒してしまいオランダが再びPKを獲得。キッカーがクライファートに代わり、ゴール左下隅を狙うが今度はポストに弾かれて、またしてもゴールならず。その後も同じ展開のまま90分を終了してスコアレスのまま延長戦に入っていったがスコアは動かず、勝負の行方はPK戦に持ち込まれていった。
結局PK戦は3人外したオランダが敗れて開催国優勝とはならなかった。勝ったイタリアは延長を含めて80分以上、1人少ない10人でのプレーを余儀なくされたが、鉄壁のディフェンスでオランダの猛攻に耐え、GKトルドが大活躍し、試合中の2本のPKに加えてPK戦では3本止めてヒーローになった。(なおPK戦の3人目で蹴ったトッティは見事なチップキックを決めている)。こうしてイタリアはワールドカップチャンピオン・フランスが待つ決勝へと駒を進めていった。
その後の両国
イタリアは決勝でフランスに延長戦ゴールデンゴールによって敗れて優勝とはならなかった。アタッキングサッカーが主流だった今大会で、鉄壁のディフェンスからのカウンターで勝ち上がっていったが最後で破綻してしまった。
オランダはこの敗戦でライカールト監督が辞任し、後任にオランダの名将ファン・ハールが就任した。1998年ワールドカップと今大会をともにベスト4に輝いたオランダ代表を名将ファン・ハールが率いることで、より一層の飛躍が期待されたが、2002年日韓ワールドカップの欧州予選でよもやの敗退を喫して本大会出場を逃してしまう。
出場選手(イタリア)
GK 12 F・トルド 2000年のEUROに出場。
DF 17 G・ザンブロッタ 2000年、2004年、2008年のEUROに出場。
DF 5 F・カンナヴァーロ 2000年、2004年のEUROに出場。1990年代から2000年代のイタリアを代表する名ディフェンダー。2006年にバロンドール受賞。
DF 13 A・ネスタ 2000年、2004年のEUROに出場。1990年代から2000年代のイタリアを代表する名ディフェンダー。
DF 15 M・ユリアーノ 2000年のEUROに出場。
DF 3 P・マルディーニ Ⓒ 1988年、1996年、2000年のEUROに出場。1980年代から2000年代のイタリアを代表する史上最高の選手の一人。
MF 14 L・ディ・ビアッジョ 2000年のEUROに出場。
MF 4 D・アルベルティーニ ▼77分 1996年、2000年のEUROに出場。1990年代から2000年代前半のイタリアを代表するゲームメーカー。
MF 18 S・フィオレ ▼83分 2000年、2004年のEUROに出場。
FW 10 A・デル・ピエロ 1996年、2000年、2004年、2008年のEUROに出場。1990年代から2010年代前半のイタリアを代表する史上最高のファンタジスタの一人。
FW 9 F・インザーギ ▼67分 2000年のEUROに出場。1990年代から2000年代のイタリアを代表するストライカー。
FW 21 M・デルヴェッキオ △67分 2000年のEUROに出場。
DF 11 G・ペソット △77分 2000年のEUROに出場。
FW 20 F・トッティ △83分 2000年、2004年のEUROに出場。1990年代から2010年代前半のイタリアを代表する史上最高のファンタジスタの一人。
監督 D・ゾフ 1960年代から1980年代前半のイタリアを代表する史上最高のゴールキーパー。1968年、1980年のEUROに選手として出場し、1968年は優勝に貢献。2000年のEUROに監督として出場し準優勝。
出場選手(オランダ)
GK 1 E・ファン・デル・サール 1996年、2000年、2004年、2008年のEUROに出場。1990年代から2010年代前半のオランダを代表する史上最高のゴールキーパー。
DF 15 P・ボスフェルト 2000年、2004年のEUROに出場。
DF 3 J・スタム 2000年、2004年のEUROに出場。1990年代から2000年代のオランダを代表する名ディフェンダー。
DF 4 F・デ・ブール Ⓒ 1996年、2000年、2004年のEUROに出場。1990年代から2000年代前半のオランダを代表する名ディフェンダー。後にオランダ代表監督に就任し、2020年のEUROに監督として出場。
DF 12 G・ファン・ブロンクホルスト 2000年、2004年、2008年のEUROに出場。1990年代から2000年代のオランダを代表する左サイドバック。
MF 11 M・オーフェルマルス 2000年、2004年のEUROに出場。1990年代から2000年代前半のオランダを代表する名ウインガー。
MF 7 F・コク ▼95分 2000年、2004年のEUROに出場。1990年代から2000年代のオランダを代表するユーティリティープレーヤー。
MF 8 E・ダヴィッツ 1996年、2000年、2004年のEUROに出場。1990年代から2000年代のオランダを代表するミッドフィルダー。
MF 5 B・ゼンデン ▼77分 2000年、2004年のEUROに出場。1990年代から2000年代のオランダを代表するユーティリティープレーヤー。
FW 9 P・クライファート 1996年、2000年、2004年のEUROに出場し、2000年は得点王。1990年代から2000年代のオランダを代表するストライカー。
FW 10 D・ベルカンプ ▼86分 1992年、1996年、2000年のEUROに出場。1990年代から2000年代前半のオランダを代表するスタープレイヤー。この大会を最後にオランダ代表を引退している。
FW 14 P・ファン・フォッセン △77分 2000年のEUROに出場。
MF 6 C・セードルフ △86分 1996年、2000年、2004年のEUROに出場。1990年代から2010年代前半のオランダを代表するミッドフィルダー。
MF 20 A・ヴィンター △95分 1992年、1996年、2000年のEUROに出場。
監督 F・ライカールト 1980年代から1990年代前半のオランダを代表するオールラウンドミッドフィルダー。1988年、1992年のEUROに選手として出場し、1988年は優勝に貢献。2000年のEUROに監督として出場。
試合結果
イタリア 0-0(PK3-1) オランダ
得点 なし