両国のグループリーグ戦
スペインはグループCに入り初戦のノルウェー戦を0-1で落とし、まさかの黒星スタートになった。2戦目のスロヴェニア戦を2-1で勝利して、3戦目のユーゴスラヴィア戦に全てをかけることになった。ユーゴスラヴィア戦は歴史に残る名勝負となり、90分過ぎまでスペインは2-3で負けていたが、後半アディショナルタイムに2点を奪い、4-3の劇的勝利で大混戦のグループCを2勝1敗の1位通過で準々決勝に進出してきた。
フランスはグループDでオランダ、チェコ、デンマークの死の組に入ったが、開催国オランダと共に早々に2連勝して、3戦目を残して突破を決めていた。結局3戦目はオランダに敗れて2勝1敗の2位通過で準々決勝に進出した。
試合
同じ2勝1敗で勝ち上がってきた両チームだが、その過程は好対照で、スペインは劇的勝利で勢いがあり、フランスは3戦目に主力を休ませて万全のコンディションで準々決勝を迎えた。試合は前半の立ち上がりからお互い一進一退が続いていたが、32分にジョルカエフがドリブルで切り込んだところを倒されて、ゴール正面やや左寄りのFKを獲得した。このFKをジダンが直接ゴール左上に蹴り込みフランスが先制点を挙げる。
反撃したいスペインは38分、自陣からパスを繋いでいき、アルフォンソがペナルティエリア内に走り込んできたムニテスにパスを出し、ムニテスがキープしたところをテュラムに足を引っかけられて倒されPKを獲得する。これをメンディエタが決めて同点に追いついた。すると今度はフランスが前半終了間際の44分、ヴィエラがドリブルで中央を突破して、走り込んできたジョルカエフにパスを出し、これをジョルカエフがゴール右上に突き刺し、再び勝ち越して前半を2-1で折り返した。
後半、まずは追いつきたいスペインだったが、前線からプレスをかける時とブロックをしっかり組む時のバランスがいいフランスのディフェンスに手こずり、チャンスはセットプレーぐらいしか掴めなかった。いたずらに時間だけが経過していった終了間際の89分、同点にする絶好機が到来した。右サイドでボールを受けたエチェベリアがクロスを放り込み、そのこぼれ球をテュラムがGKバルテズに頭で返そうとするがそれてしまい、バルテズが抑えに行ったところをアベラルドと接触して倒し、スペインにPKが与えられた。
PKを蹴るのはエース・ラウール。しかし蹴ったボールは無情にもクロバーをはるかに超えていってしまった。同点にする絶好の機会を逃したスペインはこのまま得点を奪えず、結局試合は2-1でフランスが勝ちポルトガルが待つベスト4に進出した。
試合後にグアルディオラとジダンがユニフォームの交換をして互いの健闘を称えあっていた。この2人に加えてデシャンの3人は、後に監督としても成功し名声を得ることになる。
その後の両国
ベスト8で敗退したスペインは引き続きカマーチョ監督のもと、次なる目標、日韓ワルードカップ出場を目指すことになった。一方、フランスはベスト4でポルトガルを破り、決勝でイタリアを延長ゴールデンゴールで下して2度目のEUROを制覇し、同時にワールドカップとEUROを連覇することになった。1998年から2000年頃はフランス黄金時代の真っただ中であり世界を席巻中であった。
出場選手(スペイン)
GK 1 S・カニサーレス 2000年のEUROに出場。
DF 2 M・サルガード 2000年のEUROに出場。
DF 5 アベラルド Ⓒ 1996年、2000年のEUROに出場。
DF 18 パコ 2000年のEUROに出場。
DF 3 A・アランサバル 2000年のEUROに出場。
MF 16 G・メンディエタ ▼57 2000年のEUROに出場。1990年代から2000年代前半のスペインを代表するミッドフィルダー。
MF 4 J・グアルディオラ 2000年にEUROに出場。1990年代から2000年代前半のスペインを代表する名ピボーテ。現在世界最高の監督の一人。メッシを選手として完成させ、数々のクラブで成功を収めている。
MF 7 I・エルゲラ ▼77 2002年、2004年のEUROに出場。
MF 9 P・ムニテス ▼73分 2000年のEUROに出場。
FW 11 アルフォンソ 1996年、2000年のEUROに出場。
FW 10 ラウール 2000年、20004年のEUROに出場。1990年代後半から2000年代のスペインを代表する史上最高のストライカーの一人。
FW 20 I・ウルサイス △57分 2000年のEUROに出場。
FW 17 J・エチェベリア △73分 2000年、2004年のEUROに出場。
MF 14 ジェラール △77分 2000年のEUROに出場。
監督 J・カマーチョ 1970年代から1980年代のスペインを代表する左サイドバック。1984年、1988年のEUROに選手として出場し、1984年は準優勝に貢献。2000年のEUROに監督として出場。
出場選手(フランス)
GK 16 F・バルテズ 2000年、2004年のEUROに出場。1990年代から2000年代のフランスを代表するゴールキーパー。
DF 15 L・テュラム 1996年、2000年、2004年、2008年のEUROに出場。1990年代から2000年代のフランスを代表する名ディフェンダー。
DF 8 M・デサイー 1996年、2000年、2004年のEUROに出場。1980年代後半から2000年代前半のフランスを代表するボランチ、ディフェンダー。
DF 5 L・ブラン 1992年、1996年、2000年のEUROに出場。1980年代後半から2000年代前半のフランスを代表する名リベロ。後にフランス代表監督に就任し、2012年のEUROに監督として出場。
DF 3 B・リザラズ 1996年、2000年、2004年のEUROに出場。1980年代後半から2000年代前半のフランスを代表するディフェンダー。
MF 4 P・ヴィエラ 2000年、2004年、2008年のEUROに出場。1990年代後半から2000年代のフランスを代表するディフェンシブミッドフィルダー。
MF 7 D・デシャン Ⓒ 1992年、1996年、2000年のEUROに出場。1980年代後半から2000年代前半のフランスを代表するディフェンシブミッドフィルダー。現フランス代表監督で2016年、2020年のEUROに監督として出場し、2016年は準優勝。
MF 6 Y・ジョルカエフ 1996年、2000年のEUROに出場。1990年代から2000年代前半のフランスを代表するオフェンシブミッドフィルダー。
MF 10 Z・ジダン もはや説明不要の超ド級のスーパースター。
FW 12 T・アンリ ▼81分 2000年、2004年、2008年のEUROに出場。1990年代後半から2000年代のフランスを代表する史上最高のストライカーの一人。
FW 21 C・デュガリー 1996年、2000年のEUROに出場。
FW 9 N・アネルカ △81分 2000年、2008年のEUROに出場。1990年代後半から2000年代のフランスを代表するストライカー。しかし、その才能をすべて発揮したとは言い難い。
監督 R・ルメール 2000年のEUROに監督として出場し優勝。
試合結果
スペイン 1-2 フランス
得点 Z・ジダン(フランス) 32分
G・メンディエタ(スペイン) 38分
Y・ジョルカエフ(フランス) 44分