両国の勝ち上がり状況
開催国ドイツは組み合わせに恵まれグループAを3戦全勝で首位通過をし、決勝トーナメント1回戦ではスウェーデンをポドルスキーの2ゴールで下してベスト8に進出した。迎えた準々決勝の相手は優勝候補のアルゼンチン。試合はこの大会初めて先制されたが、終了10分前にクローゼの得点で追いつきPK戦の末、強敵アルゼンチンを下してベスト4に進出した。
しかし、アルゼンチン戦試合終了後の乱闘騒ぎにフリングスが関与したとして出場停止の処分を下されてしまう(しかも準決勝イタリア戦前日に処分決定)。ドイツの攻守に渡って重要な役割を担っていたフリングスの出場停止はドイツにとっては大誤算だった。
一方、イタリアはガーナ、チェコ、アメリカと曲者揃いのグループEを2勝1分で首位突破し、決勝トーナメント1回戦でオーストラリア、準々決勝でウクライナを下してベスト4に進出した。
試合
試合の前半は両チーム攻守の切り替えが早く、ハイレベルな攻防で一進一退を繰り広げる展開になった。どちらが主導権を握ったという感じもなく前半45分が終了した。
後半に入っても変わらず同じ状況で推移していく。攻撃のスタイルは、イタリアがピルロを起点として裏への抜け出しを狙ったパスが多かったが、オフサイドになる頻度も多かった。ドイツはボールを奪ってからの速攻、カウンターが主だったがイタリアの最終ラインがほとんど食い止めていた。結局、スコアレスのまま90分が終了して延長戦に突入していった。
延長前半開始間もなく、右サイドからジラルディーノがドリブルで侵入してシュートを撃つが、ポストにはね返ってゴールはならず。さらに1分後、CKからのこぼれ球を拾ったザンブロッタがシュートを放つが、今度はクロスバーに弾かれてゴールはならなかった。少しずつゴールの臭いがしてきた延長前半終了間際に、今度はドイツが右サイドからのクロスをポドルスキーがフリーでヘディングシュートを撃つが、ゴールの枠を外してしまう。ここで延長前半が終了し、勝負の行方は延長後半にもつれ込んでいった。
延長後半112分、ペナルティエリア内でボールを受けたポドルスキーのシュートはGKブッフォンが好セーブで防いだ。その後も激しい攻防が続き、迎えた延長後半118分、コーナーキックのこぼれ球を拾ったピルロがキープしてドイツディフェンスのマークをずらし、ペナルティエリア内にいたグロッソにパスを出した。これを巻くように逆サイドのゴールネットに突き刺し、イタリアが待望の先制点を挙げた。
追い詰められたドイツは総攻撃でイタリアゴールを狙っていくが、試合終了間際のアディショナルタイムにルーズボールを奪われ、交代出場のデル・ピエロに止めの2点目を奪われて勝負あり、ここで試合が終了しドイツの開催国優勝の夢は儚く散った。そしてイタリアは通算4度目の優勝をかけて決勝に進出し、ドイツは3位決定戦に回ることになった。
その後の両国
イタリアは決勝でフランスをPK戦で下し、24年ぶり通算4度目の優勝を果たした。大会前は国内リーグの八百長騒動(カルチョスキャンダル)もあり、絶対的優勝候補ではなかったが伝統の守備力をベースに頂点に駆け上がっていった。
ドイツも開催国でありながら前評判は絶対的優勝候補ではなかったが、ベスト4まで進出し3位決定戦でポルトガルを下して有終を飾った。そして大会後にクリンスマン監督は辞任し、後任にはヘッドコーチを務めていたレーヴが新監督に就任した。
出場選手(ドイツ)
GK 1 J・レーマン 2006年のワルードカップに出場。1990年代から2000年代のドイツを代表するゴールキーパー。
DF 3 A・フリードリヒ 2006年、2010年のワルードカップに出場。
DF 17 P・メルテザッカー 2006年、2010年、2014年のワルードカップに出場。2000年代から2010年代のドイツを代表するディフェンダー。
DF 21 C・メッツェルダー 2002年、2006年のワルードカップに出場。
DF 16 P・ラーム 2006年、2010年、2014年のワルードカップに出場。2000年代から2010年代のドイツを代表するサイドバック。
MF 19 B・シュナイダー ▼83分 2002年、2006年のワルードカップに出場。
MF 13 M・バラック Ⓒ 2002年、2006年のワルードカップに出場。2000年代のドイツを代表するオールラウンドミッドフィルダー。
MF 5 S・ケール 2002年、2006年のワルードカップに出場。
MF 18 T・ボロウスキー ▼73分 2006年のワルードカップに出場。
FW 11 M・クローゼ ▼111分 2002年、2006年、2010年、2014年のワルードカップに出場し、2006年は得点王。ワールドカップ通算得点16点の記録保持者。2000年代から2010年代前半のドイツを代表するストライカー。
FW 20 L・ポドルスキー 2006年、2010年、2014年のワルードカップに出場。2000年代から2010年代のドイツを代表するアタッカー。後にJ・リーグのヴィッセル神戸に選手として在籍。
MF 7 B・シュヴァインシュタイガー △73分 2006年、2010年、2014年のワルードカップに出場。2000年代から2010年代のドイツを代表するミッドフィルダー。
MF 22 D・オドンコール △83分 2006年のワルードカップに出場。
FW 10 O・ヌビル △111分 2002年、2006年のワルードカップに出場。
監督 J・クリンスマン 1980年代後半から1990年代のドイツを代表するストライカー。1990年、1994年、1998年のワルードカップに選手として出場し、1990年は優勝に貢献。2006年のワルードカップに監督として出場し3位入賞。
出場選手(イタリア)
GK 1 G・ブッフォン 2002年、2006年、2010年、2014年のワルードカップに出場。1990年代後半から2020年代前半のイタリアを代表する史上最高のゴールキーパーの一人。
DF 19 G・サンブロッタ 2002年、2006年、2010年のワルードカップに出場。
DF 5 F・カンナヴァーロ Ⓒ 1998年、2002年、2006年、2010年のワルードカップに出場。1990年代から2000年代のイタリアを代表する名ディフェンダー。2006年にバロンドール受賞。
DF 23 M・マテラッツィ 2002年、2006年のワルードカップに出場。1990年代後半から2000年代のイタリアを代表するディフェンダー。
DF 3 F・グロッソ 2006年のワルードカップに出場。2000年代から2010年代前半のイタリアを代表す左サイドバック。
MF 16 M・カモラネージ ▼91分 2006年2010年のワルードカップに出場。
MF 21 A・ピルロ 2006年、2010年、2014年のワルードカップに出場。2000年代から2010年代前半のイタリアを代表する史上最高のレジスタ。
MF 8 G・ガットゥーゾ 2002年、2006年、2010年のワルードカップに出場。2000年代から2010年代前半のイタリアを代表するミッドフィルダー。
MF 20 S・ペロッタ ▼104分 2006年のワルードカップに出場。
FW 10 F・トッティ 2002年、2006年のワルードカップに出場。1990年代から2010年代前半のイタリアを代表する史上最高のファンタジスタの一人。
FW 9 L・トニ ▼74分 2006年のワルードカップに出場。2000年代から2010年代前半のイタリアを代表するストライカー。
FW 11 A・ジラルディーノ △74分 2006年、2010年のワルードカップに出場。
FW 15 V・ヤクインタ △91分 2006年、2010年のワルードカップに出場。
FW 7 A・デル・ピエロ △104分 1998年、2002年、2006年のワルードカップに出場。1990年代から2010年代前半のイタリアを代表する史上最高のファンタジスタの一人。
監督 M・リッピ イタリア史上最高の監督の一人。2006年、2010年のワルードカップに監督として出場し、2006年は優勝に導いている。
試合結果
ドイツ 0-2 イタリア
得点 F・グロッソ(イタリア) 119分
A・デル・ピエロ(イタリア) 120分+1分