1971ー1972UEFAチャンピオンズカップ決勝 アヤックスVSインテル

アヤックスの勝ち上がり状況

 ディフェンディングチャンピオンのアヤックスは、1回戦で東ドイツのディナモ・ドレスデンと対戦し、2試合合計2-0で勝利して2回戦に進出した。2回戦ではフランスのマルセイユと対戦して2試合合計6-2で下して準々決勝に進出を決めた。そして準々決勝でイングランドの強豪アーセナルと対戦し、2試合合計3-1で勝利して準決勝に進出した。準決勝ではポルトガルの強豪ベンフィカ・リスボンと対戦して2試合合計1-0の接戦を制して、2大会連続3回目の決勝に進出してきた。

インテルの勝ち上がり状況

 前シーズンにセリエAを制したインテルは、1回戦でギリシャのAEKアテネと対戦して2試合合計6-4で勝利して2回戦に進出した。2回戦では西ドイツの強豪ボルシアMGと対戦し、初戦のアウェー戦を1-7で大敗して敗退の危機に陥ったが、諸事情によりこの試合は無効となって、改めて行われた試合では2試合合計4-2で勝利して準々決勝に進出した。

 準々決勝でベルギーのスタンダード・リエージュと対戦し、2試合合計2-2のアウェーゴールの差で下して準決勝に進出した。準決勝では5年前の決勝で敗れたスコットランドのセルティックと対戦し、2試合合計0-0のPK戦の末に下してリベンジをして、その時以来5年ぶり4回目の決勝に進出してきた。

 こうして1971ー1972チャンピオンズカップ優勝のカードはアヤックス対インテルの顔合わせとなり、アヤックスが勝てば2大会連続2回目、インテルが勝てば7年ぶり3回目の優勝となる。

試合(前半)

 4分 アヤックスのニースケンスがロングシュートを打ったがGKボルドンの正面でゴールならず。

 12分 インテルのジュベルトーニが負傷で下がり、ベルティーニが代わって出場する。

 23分 アヤックスのクロルが意表をついてミドルシュートを打ったがゴールポストに直撃して惜しくもゴールならず。

 29分 インテルのボニンセーニャが右サイドからカットインしてミドルシュートを打ったが枠を外れてゴールならず。

 30分 アヤックスのミューレンがルーズボールをノートラップボレーを撃ったがGKボルドンがセーブしてゴールならず。

 34分 アヤックスが左サイドからハーンがクロスを上げ、スワートが頭でインテルゴールに押し込んだがオフサイドでゴール無効の判定。

 36分 アヤックスが左サイドからカイザーがインテルペナルティエリア内に折り返し、混戦からフルスタルピがクリアしようとしたボールがインテルDFにあたり、あわやオウンゴールになるところをGKボルドンが弾いて何とかゴールを死守した。

 38分 アヤックスのハーンがロングシュートを打ったが枠を外れてゴールならず。

 1971ー1972チャンピオンズカップ決勝の会場となったのは、アヤックスのライバル・フェイエノールトのホームデ・カイプとなった。試合は前半開始からアヤックスがボールをキープして主導権を握ってチャンスを次々と作り、インテルは防戦一方となってほとんどチャンスを作ることは出来なかった。しかし、スコアは動かずに前半はスコアレスのまま終了して、折り返しを迎えることになった。

試合(後半)

 47分 アヤックスが右サイドからクロスをインテルゴール前に上げ、クロスに向かって飛び出したGKボルドンがオリアーリが衝突して倒れてしまい、がら空きのゴールにクライフが押し込んでアヤックスが先制点を挙げる。(アヤックス1-0インテル)

 56分 インテルのジャイールが負傷して下がり、ペリッツァーロが代わって出場する。

 78分 アヤックスが左サイドからのFKからクロスをインテルゴール前に上げ、クライフがヘディングでゴールに押し込みアヤックスが追加点を挙げる。(アヤックス2-0インテル)

 82分 インテルのボニンセーニャが主審に抗議をしてイエローカードを貰う。

 85分 アヤックスがカウンターから左サイドの攻撃を仕掛けて、最後はミューレンがシュートを打ったがGKボルドンがセーブしてゴールならず。

 89分 アヤックスのニースケンスがインテルDFのもたつきをついてシュートを打ったが枠を外れてゴールならず。

 後半に入ると早々の47分にクライフがゴールを決めてアヤックスが先制点を挙げた。その後も前半同様にアヤックスが主導権を握って攻め込み、インテルはチャンスを作れずに時間が経過していった78分に、再びクライフがヘディングでインテルゴールに押し込んでアヤックスが追加点を挙げた。そして試合は2-0のまま終了して、アヤックスが大会連覇を達成することになった。

その後のアヤックス

 前年に引き続いて優勝を果たし連覇となったアヤックスは、一昨年のフェイエノールトの優勝から3年連続でカップをオランダに持ち帰ることになった。決勝ではイタリアの名門インテルに対して内容でも完勝し、アヤックスの黄金時代を象徴する優勝となった。

 そして前年は出場辞退したインターコンチネンタルカップで、アルゼンチンのインディペンディエンテを2試合合計4-1で下してタイトルを獲得し、非公式ながらUEFAスーパーカップではスコットランドのグラスゴー・レンジャーズを2試合合計6-3で下している。さらに翌シーズンのチャンピオンズカップではディフェンディングチャンピオンとして出場し、見事に優勝を果たして大会3連覇を達成することになる。

出場選手(アヤックス)

 GK 1 H・シュタイ                                                                                                                1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。

 DF 3 W・サービエ                                                                                                                              1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。

 DF 4 B・ハルショフ                                                                                                                     1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。後年アヤックスの監督に就任する。

 DF 12 H・ブランケンブルク                                                                                                              1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。

 DF 5 R・クロル                                                                                                                                              1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。1970年代から1980年代中盤のオランダを代表する史上最高のディフェンダーの一人であり、欧州を代表するディフェンダーの一人。

 MF 7 J・ニースケンス                                                                                                              1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。1970年代から1980年代中盤のオランダを代表する史上最高の選手の一人であり、欧州を代表する史上最高の選手の一人。

 MF 15 A・ハーン                                                                                                             1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。1960年代終盤から1980年代中盤のオランダを代表するミッドフィルダー。

 MF 9 G・ミューレン                                                                                                             1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。元オランダ代表のアーノルド・ミューレンは実弟である。

 FW 8 S・スワート                                                                                                                    1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。

 FW 14 J・クライフ                                                                                                            1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。1960年代中盤から1980年代初頭のオランダを代表する史上最高の選手であり、世界を代表する史上最高の選手の一人。後年アヤックスとバルセロナの監督に就任し、1992年にバルセロナの監督としてチャンピオンズカップ優勝に導いている。1971年、1973年、1974年にバロンドール受賞。

 FW 11 P・カイザー Ⓒ                                                                                                     1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。1960年代から1970年代中盤のオランダを代表する史上最高の左ウインガーの一人。

 監督 S・コヴァチ                                                                                                                    ルーマニアを代表する史上最高の監督。1972年、1973年にアヤックスの監督としてチャンピオンズカップ優勝に導いている。元ルーマニア代表のニコラエ・コヴァチは実兄である。

出場選手(インテル)

 GK 1 I・ボルドン                                                                                                                    1970年代から1980年代のイタリアを代表する史上最高のゴールキーパーの一人。

 DF 2 M・ベルージ

 DF 3 G・ファケッティ                                                                                                                 1964年、1965年にインテルでチャンピオンズカップ優勝。1960年代から1970年代のイタリアを代表する史上最高の左サイドバックであり、欧州を代表する史上最高の左サイドバックの一人。

 DF 5 M・ジュベルトーニ ▼12分

 DF 6 T・ブルグニッチ                                                                                                                                                                     1964年、1965年にインテルでチャンピオンズカップ優勝。1960年代から1970年代のイタリアを代表する史上最高のディフェンダーの一人。

 MF 4 G・オリアーリ                                                                                                                                                                                                                              1970年代から1980年代中盤のイタリアを代表する史上最高のミッドフィルダーの一人。

 MF 8 G・ベディン                                                                                                                                                                            1965年にインテルでチャンピオンズカップ優勝。1960年代中盤から1970年代のイタリアを代表するミッドフィルダー。

 MF 10 S・マッツォーラ Ⓒ                                                                                                            1964年、1965年にインテルでチャンピオンズカップ優勝。1960年代から1970年代のイタリアを代表する史上最高の選手の一人であり、欧州を代表する史上最高の選手の一人。イタリア史上最高の選手の一人であるヴァレンティノ・マッツォーラは実父である。

 FW 7 ジャイール ▼56分                                                                                                                                                           1964年、1965年にインテルでチャンピオンズカップ優勝。1960年代から1970年代中盤のブラジルを代表する右ウインガー。

 FW 9 R・ボニンセーニャ                                                                                                         1960年代から1970年代のイタリアを代表するストライカー。

 FW 11 M・フラスタルーピ

 MF 14 M・ベルティーニ △12分                                                                                                                  1960年代から1970年代のイタリアを代表するミッドフィルダー。

 MF 16 S・ペリッツァーロ △56分

 監督 G・インヴェルニッツィ

試合結果

1972年5月31日 デ・カイプ(ロッテルダム)

   アヤックス 2-0 インテル

得点 J・クライフ(アヤックス) 47分

   J・クライフ(アヤックス) 78分

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