アストン・ヴィラの勝ち上がり状況
前シーズンにイングランドリーグを優勝したアストン・ヴィラは、1回戦でアイスランドのヴァルールと対戦して、ホーム・アウェーの2試合合計7-0で快勝して悠々と2回戦に進出した。2回戦では東ドイツのディナモ・ベルリンと対戦して、2試合合計のスコアは2-2だったが、アウェーゴールの差で振り切り準々決勝に進出した。
準々決勝ではソ連のディナモ・キエフを2試合合計2-0で下して準決勝に進出し、準決勝の相手は2回戦で優勝を争うとみられていたイタリアのユヴェントスを破って進出してきたベルギーのアンデルレヒトとなった。そしてアンデルレヒトを2試合合計1-0で破って初の決勝進出を決めた。
バイエルン・ミュンヘンの勝ち上がり状況
前シーズンにブンデスリーガで連覇を達成したバイエルン・ミュンヘンは、1回戦でスウェーデンのエステルを2試合合計6-0で快勝して2回戦に進出した。2回戦ではポルトガルのベンフィカ・リスボンと対戦し、第1戦のアウェーをスコアレスドローで凌ぎ、第2戦のホームで4-1と快勝して準々決勝に進出した。
準々決勝ではルーマニアのクラヨーヴァを2試合合計2-1で下し、準決勝はスペインのレアル・ソシエダとディフェンディングチャンピオンのリヴァプールの強豪たちを次々と破って勝ち上がったブルガリアのCSKAソフィアを、2試合合計7-4の乱打戦を制して決勝に進出してきた。
こうして1981ー1982チャンピオンズカップ決勝のカードはアストン・ヴィラ対バイエルン・ミュンヘンの顔合わせとなり、アストン・ヴィラが勝てば初優勝、またイングランド勢としては6年連続の優勝となり、バイエルン・ミュンヘンが勝てば6年ぶり4回目の優勝となる。
試合(前半)
7分 アストン・ヴィラのブレムナーが倒されてFKを獲得し、モーティマーがバイエルン・ミュンヘンゴール前にクロスを上げ、ウィズがヘディングで合わせたが枠を外れてゴールならず。
9分 アストン・ヴィラのGKリマーが負傷してスピンクと交代。
20分 アストン・ヴィラのコーワンズがワンタッチのパスをウィズに通し、ウィズが反転してシュートを撃ったが枠を外してゴールならず。
30分 バイエルン・ミュンヘンのデュルンベルガーが左サイドからアストン・ヴィラペナルティエリア内に切り込んでシュートを撃ったが、GKスピンクがセーブしてゴールならず。
31分 バイエルン・ミュンヘンのブライトナーが左サイドからルンメニゲにパスを出し、ルンメニゲがシュートを撃ったがGKスピンクがゼーブし、こぼれ球をマシーがシュートを撃ったがアストン・ヴィラDFが防いでゴールならず。さらに右サイドからブライトナーが折り返したボールをルンメニゲがオーバーヘッドキックで狙ったが枠を外れてゴールならず。
38分 アストン・ヴィラのウィリアムズが左サイドをオーバーラップしてボールを受けたが、ドリブルが大きくなったところをドレムラーにカットされ、ドレムラーの足を引っかけて倒してしまいイエローカードを貰う。
43分 バイエルン・ミュンヘンがヘーネス、ブライトナー、ルンメニゲとボールを繋いで、ルンメニゲがシュートを撃ったが枠を外れてゴールならず。
前半開始早々の9分にアストン・ヴィラのGKリマーが負傷してしまい、スピンクと交代するところから試合が始まった。10分過ぎ頃からアストン・ヴィラがペースを握り、何度かチャンスを迎えたがゴールを割るまでには至らなかった。そして30分過ぎ頃からはバイエルン・ミュンヘンがペースを握り、ブライトナーとルンメニゲを中心にチャンスを作ったがゴールにはならなかった。そして前半はスコアレスのまま終了してハーフタイムに入っていった。
試合(後半)
51分 バイエルン・ミュンヘンがマシーを下げてギュトラーを投入。
62分 バイエルン・ミュンヘンがカウンターからルンメニゲが攻め上がって右サイドのギュトラーにパスを出し、ギュトラーがファーサイドにクロスを上げ、アウゲンターラーがヘディングで合わせたがアストン・ヴィラDFがクリアして惜しくもゴールならず。さらにルンメニゲが右サイドのドレムラーに縦パスを出し、ドレムラーがアストン・ヴィラゴール前に低いクロスを入れてヘーネスが合わせたが、GKスピンクにセーブされる。
63分 バイエルン・ミュンヘンがFKからブライトナーが左サイドのドレムラーにパスを出し、ドレムラーがアストン・ヴィラゴール前にクロスを上げてヘーネスが飛び込んだが合わなかった。
67分 アストン・ヴィラのモーリーが左サイドから切り込んで、バイエルン・ミュンヘンゴール前に折り返してウィズが合わせてバイエルン・ミュンヘンゴールに押し込み、アストン・ヴィラが先制点を挙げる。
72分 バイエルン・ミュンヘンが左サイドのCKからルンメニゲがクロスを上げ、ヘーネスがヘディングで合わせたが枠を外れてゴールならず。
78分 バイエルン・ミュンヘンがクラウスを下げてニーダーマイヤーを投入。
87分 バイエルン・ミュンヘンのニーダーマイヤーのロングフィードからギュトラー、ヘーネスと繋いでシュートを撃ってアストン・ヴィラゴールを割ったが、ヘーネスがオフサイドで無情にもゴール無効の判定。
後半に入るとしばらくしてバイエルン・ミュンヘンがペースを握ってチャンスを作り、最大の決定機は62分、ギュトラーのクロスに合わせたアウゲンターラーのヘディングは、GKスピンクをかわしてアストン・ヴィラゴールに向かっていったが、間一髪アストン・ヴィラDFクリアしてゴールにならなかった。すると67分、アストン・ヴィラが左サイドでボールを受けたモーリーがバイエルン・ミュンヘンDFをかわして低いクロスをゴール前に入れ、フリーのウィズがゴールに押し込んで先制点を挙げた。その後はバイエルン・ミュンヘンが攻め込んでいき、アストン・ヴィラがカウンターで応酬する展開になっていった。終了間際の87分にヘーネスがアストン・ヴィラゴールを割ったがオフサイドでゴール無効となり、結局試合は1-0のまま終了してアストン・ヴィラが初優勝を決め、イングランドに6年連続でビッグイヤーを持ち帰ることになった。
その後のアストン・ヴィラ
チャンピオンズカップ初優勝を飾ったアストン・ヴィラは、ヨーロッパスーパーカップでカップ・ウィナーズカップ優勝のスペインのバルセロナと対戦して2試合合計3-1で破ってタイトルを獲得したが、インターコンチネンタルカップでは南米王者のウルグアイのペニャロールと対戦して0-2で敗れてタイトル獲得とはならなかった。
また翌シーズンのチャンピオンズカップではディフェンディングチャンピオンとして出場したが、準々決勝でイタリアのユベントスに2試合合計2-5で敗れてタイトル防衛とはならなかった。
出場選手(アストン・ヴィラ)
GK 1 J・リマー ▼9分 1968年にマンチェスター・ユナイテッド、1982年にアストン・ヴィラでチャンピオンズカップ優勝。
DF 2 K・スウェイン 1982年にアストン・ヴィラでチャンピオンズカップ優勝。
DF 5 K・マクノート 1982年にアストン・ヴィラでチャンピオンズカップ優勝。
DF 4 A・エヴァンス 1982年にアストン・ヴィラでチャンピオンズカップ優勝。
DF 3 G・ウィリアムズ 1982年にアストン・ヴィラでチャンピオンズカップ優勝。
MF 6 D・モーティマー Ⓒ 1982年にアストン・ヴィラでチャンピオンズカップ優勝。
MF 10 G・コーワンズ 1982年にアストン・ヴィラでチャンピオンズカップ優勝。
MF 7 D・ブレムナー 1982年にアストン・ヴィラでチャンピオンズカップ優勝。
FW 9 P・ウィズ 1982年にアストン・ヴィラでチャンピオンズカップ優勝。
FW 8 G・ショー 1982年にアストン・ヴィラでチャンピオンズカップ優勝。
FW 11 T・モーリー 1982年にアストン・ヴィラでチャンピオンズカップ優勝。
GK 16 N・スピンク △9分 1982年にアストン・ヴィラでチャンピオンズカップ優勝。
監督 T・バートン 1982年にアストン・ヴィラで監督としてチャンピオンズカップ優勝。
出場選手(バイエルン・ミュンヘン)
GK 1 M・ミュラー
DF 2 W・ドレムラー
DF 4 H・ウィーナー
DF 5 K・アウゲンターラー 1970年代後半から1990年代前半の西ドイツを代表するディフェンダー。
DF 3 U・ホースマン 1976年にバイエルン・ミュンヘンでチャンピオンズカップ優勝。
MF 10 R・マシー ▼51分
MF 6 W・クラウス ▼78分
MF 8 P・ブライトナー Ⓒ 1974年にバイエルン・ミュンヘンでチャンピオンズカップ優勝。1970年代から1980年代前半の西ドイツを代表する史上最高の選手の一人であり、欧州を代表する史上最高の選手の一人。
MF 7 B・デュルンベルガー 1974年、1975年、1976年にバイエルン・ミュンヘンでチャンピオンズカップ優勝。
FW 9 D・ヘーネス
FW 11 K・H・ルンメニゲ 1975年、1976年にバイエルン・ミュンヘンでチャンピオンズカップ優勝。1970年代後半から1980年代の西ドイツを代表する史上最高の選手の一人であり、欧州を代表する史上最高の選手の一人。1980年、1981年にバロンドール受賞。後年バイエルン・ミュンヘンの会長に就任する。
MF 16 G・ギュトラー △51分
MF 13 K・ニーダーマイヤー △78分
監督 P・チェルナイ
試合結果
1982年5月26日 デ・カイプ(ロッテルダム)
アストン・ヴィラ 1-0 バイエルン・ミュンヘン
得点 P・ウィズ(アストン・ヴィラ) 67分