大会概要
本来は2020年に開催予定だったコパ・アメリカのアルゼンチン・コロンビア大会は、世界中で感染拡大したコロナウイルスの為、1年延期となり2021年の開催となった。さらに開催直前になってコロンビアが政情不安、アルゼンチンがコロナウイルス感染拡大で開催権を返上した為、前回大会に引き続きブラジルで開催することになった。
また招待国として出場が決まっていたオーストラリアとカタールは、2022年ワールドカップカタール大会のアジア2次予選が、コロナウイルスにより延期したために出場を辞退した。これにより、今大会のコパ・アメリカは南米加盟の10カ国で行われることになった。
両国の勝ち上がり状況
アルゼンチンはグループAに入り、3勝1分の首位でグループリーグを突破し、準々決勝でエクアドルを3-0と快勝して準決勝に進出した。準決勝ではコロンビアを1-1のPK戦の末に競り勝ち、決勝に進出を決めた。
一方、開催国のディフェンディングチャンピオン・ブラジルはグループBに入り、こちらも3勝1分の首位でグループリーグを突破し、準々決勝でチリを準決勝でペルーをともに1-0で下して決勝に進出を決めた。
こうして決勝の対戦はアルゼンチン対ブラジルの黄金カードに決まり、ブラジルが勝てば連覇となる通算10回目の優勝となり、アルゼンチンが勝てば1993年以来28年ぶりとなり、大会最多タイの通算15回目の優勝となる。
試合
キックオフ前にコロナウイルスによる犠牲者への黙とうを行ってから始まった試合は、現在の世界状況なのか決勝戦ならではなのか、静かな立ち上がりとなった。前半15分を過ぎたあたりからアルゼンチンがボールを回し始めた22分、デ・パウルが自陣エリアからロングフィード一発でディ・マリアへパスを通し、ディ・マリアがブラジルGKエデルソンの頭上を越えるループシュートを決めてアルゼンチンが先制点を挙げた。
その後も28分にディ・マリア、32分にメッシがシュートを放つがゴールにはならなかった。35分過ぎからはブラジルもアルゼンチンゴール前に攻め込んでいったが、前半は1-0のままアルゼンチンリードでハーフタイムに入っていった。
後半に入りビハインドを背負ったブラジルはフィルミーノを投入して打開を図っていき、後半52分左サイドからのパスを受けたリシャルソンがそのまま持ち込んでシュートを決めたが、パスを受けた位置がオフサイドだったためゴール無効になってしまう。さらに53分、右サイドからネイマールがドリブルでカットインして逆サイドのリシャルソンにスルーパスを通し、リシャルソンがフリーでシュートを撃ったがGKマルティネスに阻まれまたしてもゴールにならなかった。
後半70分過ぎ頃からは、お互いにエキサイトし始めていきイエローカードも増えていった。後半86分、ブラジルFKのこぼれ球からガビがシュートを放ったが、またしてもGKマルティネスが好セーブで防ぎ、ブラジルはなかなかゴールをこじ開けることが出来なかった。逆に87分にアルゼンチンがカウンターから、左サイドを駆け上がったメッシが中央のデ・パウルにパスを出して折り返してもらい、GKエデルソンと1対1になったがボールコントロールをミスしてしまい追加点にはならなかった。
その後はアディショナルタイムの5分を凌ぎ切ったアルゼンチンが1-0で逃げ切り、1993年以来、実に28年ぶりの優勝を遂げることになった。
試合後の両国
これまでもビッグトーナメントになると、例外なく優勝候補の一角として出場していたアルゼンチンにとって、1993年のコパ・アメリカエクアドル大会以来、実に28年ぶりの悲願のタイトル獲得となった。長年チームを引っ張てきたスーパースター・メッシにとっても悲願のA代表で初のタイトル獲得となった。クラブ、個人では数々のタイトルを獲得してきたメッシにとっては、代表ではタイトルを取れないという不名誉な歴史に終止符を打った。
メッシとアルゼンチンにとって、このタイトル獲得の意義は大きく、長年の過度な重圧からようやく解放された。またこのチームは若い選手が多く、優勝という自信を得て、翌年のワールドカップカタール大会に挑んでいくことになる。
2大会連続の自国開催で連覇に臨んだブラジルは準優勝に終わった。今大会は自国開催とはいえ、コロナウイルス感染拡大予防のために入場観客を制限され、わずかに7000人ほどの観衆でホームのアドバンテージはほとんどないに等しかった。ネイマールは前回大会を怪我で欠場しており、ネイマールにとってもA代表初タイトルがかかっていたが、惜しくも準優勝に終わり涙を吞むことになった。そしてブラジルもこの大会のチームを中心に、翌年のワールドカップカタール大会に臨んでいくことになる。
出場選手(アルゼンチン)
GK 23 E・マルティネス 2021年のコパ・アメリカに出場。
DF 4 G・モンティエル 2021年のコパ・アメリカに出場。
DF 13 C・ロメロ ▼79分 2021年のコパ・アメリカに出場。
DF 19 N・オタメンディ 2015年、2016年、2019年、2021年のコパ・アメリカに出場。
DF 8 M・アクーニャ 2019年、2021年のコパ・アメリカに出場。
MF 7 R・デ・パウル 2019年、2021年のコパ・アメリカに出場。
MF 5 L・パレデス ▼54分 2019年、2021年のコパ・アメリカに出場。
MF 20 G・ロ・チェルソ ▼63分 2019年、2021年のコパ・アメリカに出場。
FW 10 L・メッシ Ⓒ もはや説明不要の超ド級のスーパースター。
FW 22 L・マルティネス ▼79分 2019年、2021年のコパ・アメリカに出場。
FW 11 A・ディ・マリア ▼79分 2011年、2015年、2016年、2019年、2021年のコパ・アメリカに出場。2000年代後半から現在にかけてアルゼンチンを代表するアタッカー。
MF 18 G・ロドリゲス △54分 2019年、2021年のコパ・アメリカに出場。
DF 3 N・タグリアフィコ △63分 2019年、2021年のコパ・アメリカに出場。
DF 6 G・ペッツェッラ △79分 2019年、2021年のコパ・アメリカに出場。
FW 15 N・ゴンサレス △79分 2021年のコパ・アメリカに出場。
MF 14 E・パラシオス △79分 2021年のコパ・アメリカに出場。
監督 L・スカローニ アルゼンチンを代表する名将の一人。2019年、2021年のコパ・アメリカに監督として出場し、2021年は優勝に導いている。
出場選手(ブラジル)
GK 23 エデルソン 2021年のコパ・アメリカに出場。
DF 2 ダニーロ 2021年のコパ・アメリカに出場。
DF 4 マルキーニョス 2015年、2019年、2021年のコパ・アメリカに出場。
DF 3 T・シウバ Ⓒ 2011年、2015年、2019年、2021年のコパ・アメリカに出場。2000年代から現在にかけてブラジルを代表する名ディフェンダー。
DF 16 R・ロディ ▼76分 2021年のコパ・アメリカに出場。
MF 5 カゼミーロ 2015年、2019年、2021年のコパ・アメリカに出場。2010年代から現在にかけてブラジルを代表するミッドフィルダー。
MF 8 フレッジ ▼46分 2015年、2021年のコパ・アメリカに出場。
MF 17 ルーカス・パケタ ▼76分 2019年、2021年のコパ・アメリカに出場。
FW 7 リシャルソン 2019年、2021年のコパ・アメリカに出場。
FW 19 エヴェルトン ▼63分 2019年、2021年のコパ・アメリカに出場。
FW 10 ネイマール もはや説明不要のスーパースター。
FW 20 R・フィルミーノ △46分 2015年、2019年、2021年のコパ・アメリカに出場。
FW 18 ヴィニシウス △63分 2021年のコパ・アメリカに出場。2010年代後半から現在にかけてブラジルを代表するストライカー。
DF 13 エメルソン △76分 2021年のコパ・アメリカに出場。
FW 21 ガビ △76分 2021年のコパ・アメリカに出場。
監督 A・チッチ ブラジルを代表する名将の一人。2019年、2021年のコパ・アメリカに監督として出場し、2019年は優勝に導いている。
試合結果
アルゼンチン 1-0 ブラジル
得点 A・ディ・マリア(アルゼンチン) 22分