両チームのグループリーグ戦
アルゼンチンはグループHを3戦全勝で首位突破した。(初戦で対戦したのは日本で、この試合が日本にとって初めてのワールドカップの試合だった)。一方、イングランドはグループGでルーマニアに敗れて2勝1敗で2位通過となった。
試合
キックオフから激しい攻防で始まった試合は開始早々の5分、オルテガのクロスをバティストゥータがヘッドで流し、ペナルティエリア内に侵入してきたシメオネをGKシーマンが倒して、アルゼンチンがPKを獲得する。これをバティストゥータがきっちり決めてアルゼンチンが先制した。イングランドもその後すぐ9分に、スコールズからパスを受けたオーウェンがドリブルでペナルティエリアに侵入し、アヤラに倒されてPKを獲得する。これをシアラーが決めてすかさず同点にした。
同点に追いついて勢いにのったイングランドは16分、ベッカムからのパスを素晴らしいトラップでボールコントロールしたオーウェンが、そのままドリブルで持ち込んでシュート決めて逆転に成功した。このゴールは今大会ナンバーワンといわれている。
その後も激しい攻防が続き、前半アディショナルタイムにアルゼンチンがペナルティエリア前正面の位置でFKを獲得し、これを直接狙うと見せかけて、トリックプレーを使い、サネッティが決めて同点に追いつき前半を終了した。
後半開始早々の47分にこの試合の流れを大きく変えるプレーが起きる。ハーフェライン付近のルーズボールに反応したベッカムにシメオネが後ろから激しいチャージを見舞う。このチャージにベッカムがシメオネに報復行為で足を出してしまい、一発レッドカードの退場になってしまった。この退場でイングランドは戦術変更を余儀なくされ、60分以降からはアルゼンチンがボール支配を強めていった。
しかしアルゼンチンも決定力を欠いてゴールを割れず、68分にはツートップを2枚代えるも状況は変わらない。イングランドに至ってはもはやセットプレーでしか得点の臭いがしなくなっていた。80分にはCKからキャンベルがヘディングでゴールを割ったが、直前のシアラーのキーパーチャージで無情にもノーゴールの判定。その後は一進一退のまま90分を終了し、延長戦でも決着がつかず勝負の行方はPK戦に持ち込まれた。
結局PK戦は1人しか外さなかったアルゼンチンが2人外したイングランドに競り勝ってベスト8に進出、オランダとベスト4をかけて対戦することになった。
試合の分岐点
やはりベッカムの退場が試合の展開を大きく変えたのは間違いない。前半までは今大会屈指の好ゲームだっただけに残念な退場だった。ベッカム退場後のイングランドは守備を固めて中盤を省略し、シアラーとオーウェンのカウンター攻撃のみになってしまった。一方、アルゼンチンも一人多いにもかかわらず、シュートやラストパスに精度を欠いて攻めあぐねていた。イングランドの守備が粘り強く耐えたともいえるが、後半半ば以降からは消耗戦になってしまった。
出場選手(アルゼンチン)
GK 1 C・ロア 1998年のワルードカップに出場。
DF 22 J・サネッティ 1998年、2002年のワルードカップに出場。1990年代から2010年代前半のアルゼンチンを代表する左サイドバック。
DF 14 N・ヴィヴァス 1998年のワルードカップに出場。
DF 2 R・アヤラ 1998年、2002年、2006年のワルードカップに出場。1990年代から2000年代のアルゼンチンを代表するセンターバック。
DF 3 J・チャモ 1994年、1998年、2002年のワルードカップに出場。
MF 5 M・アルメイダ 1998年、2002年のワルードカップに出場。1990年代から2000年代のアルゼンチンを代表するディフェンシブミッドフィルダー。
MF 8 D・シメオネ Ⓒ ▼91分 1994年、1998年、2002年のワルードカップに出場。1990年代から2000年代前半のアルゼンチンを代表するオールラウンドミッドフィルダー。2011年にアトレティコ・マドリードの監督に就任し、現在に至るまで長期政権を築いている。
MF 11 J・ベロン 1998年、2002年、2010年のワルードカップに出場。1990年代後半から2010年代前半のアルゼンチンを代表するゲームメーカー。
MF 10 A・オルテガ 1994年、1998年、2002年のワルードカップに出場。1990年代から2000年代のアルゼンチンを代表するシャドウストライカー。
FW 7 C・ロペス ▼68分 1998年、2002年のワルードカップに出場。1990年代から2000年代のアルゼンチンを代表するストライカー。
FW 9 G・バティストゥータ ▼68分 1994年、1998年、2002年のワルードカップに出場。1990年代から2000年代前半のアルゼンチンを代表する史上最高のストライカーの一人。
FW 19 H・クレスポ △68分 1998年、2002年、2006年のワルードカップに出場。1990年代後半から2000年代のアルゼンチンを代表するストライカー。
MF 20 M・ガジャルド △68分 1998年のワルードカップに出場。
MF 16 S・ベルティ △91分 1998年のワルードカップに出場。
監督 D・パサレラ 1970年代から1980年代のアルゼンチンを代表する名リベロ。1978年、1982年のワルードカップに選手として出場し、1978年はキャプテンとした優勝に貢献。1998年のワルードカップに監督として出場。
出場選手(イングランド)
GK 1 D・シーマン 1998年、2002年のワルードカップに出場。1980年代後半から2000年代前半のイングランドを代表するゴールキーパー。
DF 12 G・ネヴィル 1998年、2006年のワルードカップに出場。1990年代から2000年代のイングランドを代表するサイドバック。
DF 5 T・アダムス 1998年のワルードカップに出場。1980年代から1990年のイングランドを代表するディフェンダー。
DF 2 S・キャンベル 1998年、2002年、2006年のワルードカップに出場。
DF 3 G・ル・ソー ▼71分 1998年のワルードカップに出場。
MF 14 D・アンダートン ▼97分 1998年のワルードカップに出場。
MF 7 D・ベッカム もはや説明不要のスーパースター。
MF 4 P・インス 1998年のワルードカップに出場。
MF 16 P・スコールズ ▼78分 1998年、2002年のワルードカップに出場。1990年代から2010年代前半のイングランドを代表するオールラウンドミッドフィルダー。
FW 20 M・オーウェン 1998年、2002年、2006年のワルードカップに出場。1990年代後半から2000年代のイングランドを代表するストライカー。2001年にバロンドール受賞。
FW 9 A・シアラー Ⓒ 1998年のワルードカップに出場。1990年代から2000年代前半のイングランドを代表するストライカー。
DF 6 G・サウスゲート △71分 1998年のワルードカップに出場。現イングランド代表監督で2018年、2022年のワルードカップに監督として出場。2018年は4位に導いている。
MF 15 P・マーソン △78分 1998年のワルードカップに出場。
MF 8 D・バッティ △97分 1998年のワルードカップに出場。
監督 G・ホドル 1982年、1986年のワールドカップに選手として出場。1998年のワルードカップに監督として出場。
試合結果
アルゼンチン 2-2(PK4-3) イングランド
得点 G・バティストゥータ(アルゼンチン) 5分
A・シアラー(イングランド) 9分
M・オーウェン(イングランド) 16分
H・サネッティ(アルゼンチン) 45分+1分