両国のグループリーグ戦
スペインはグループHを組み合わせに恵まれたこともあり、3戦全勝で首位通過を決めた。一方、フランスはグループGで比較的楽な組に入ったと思われたが予想外に苦戦を強いられた。初戦のスイスはこの組を争うライバルと目されており引き分けたのは致しかたなかったが、2戦目の韓国戦を引き分けたのは予定外だった。前回大会に引き続きグループリーグ敗退が頭をよぎったが、3戦目のトーゴを2-0で下してかろうじて2位で通過を決めた。フランスが2位通過した為、決勝トーナメント1回戦でスペイン対フランスの好カードが実現した。
試合
試合は静かな立ち上がりから両チーム一進一退の攻防がしばらく続く。すると28分、CKの一連の流れからペナルティエリア内でパブロがテュラムに倒されてPKを獲得し、これをビジャがきっちりと決めてスペインが先制する。それからまたしばらくは一進一退が続くが、印象的だったのはスペインディフェンスの見事な連携で、フランスの攻撃を何度もオフサイドトラップで遮断していた(特にアンリ)。
ところが41分、中央でパスを受けたリベリーがヴィエラにパスを出し、ヴィエラがオフサイドラインをよく見てリベリーに折り返し(この時もアンリはオフサイドポジションにいた)、抜け出したリベリーはGKカシージャスをかわしてゴールに蹴り込み同点に追いついた。スペインディフェンスにしてみれば、アンリはきっちり押さえていたがリベリーにしてやられた感じだったろう。結局前半は1-1で終了した。
後半立ち上がりはフランスペースで始まり51分、ジダンの浮き球のパスをマルダがシュートを撃つもGKカシージャスが好セーブで防ぐ。その後は両チーム膠着状態がしばらく続いていたが、83分に右サイドで得たFKをジダンがゴール前に蹴り込み、スペインディフェンスにあたって流れてきたボールをヴィエラが頭で押し込み勝ち越しに成功する。
残り10分を切ったところで逆転されたスペインは必死の反撃を試みるもなかなか得点を奪えない。すると試合終了間際の後半アディショナルタイム92分に、この大会で現役引退を表明しているジダンが止めの3点目を奪って決着をつけた。このまま試合は3-1で終了し、ディフェンディングチャンピオン・ブラジルが待つベスト8に駒をすすめた。
その後の両国
フランスは準々決勝でディフェンディングチャンピオン・ブラジル、準決勝でポルトガルを破り決勝に進出するが、決勝のイタリア戦ではジダンの退場などもありPK戦の末敗退し準優勝に終わった。
スペインはグループリーグ3戦全勝して決勝トーナメントに臨んだが結局ベスト16に終わった。この大会以降、エース・ラウールの時代からティキ・タカのポゼッションサッカーへと移行していき、黄金時代に突入することになる。
出場選手(スペイン)
GK 1 I・カシージャス 2002年、2006年、2010年、2014年のワルードカップに出場。2000年代から2010年代のスペインを代表する史上最高のゴールキーパー。
DF 15 セルヒオ・ラモス 2006年、2010年、2014年、2018年のワルードカップに出場。2000年代から2020年代前半のスペインを代表する名ディフェンダー。
DF 22 パブロ 2006年のワルードカップに出場。
DF 5 C・プジョル 2002年、2006年、2010年のワルードカップに出場。1990年代後半から2010年代前半のスペインを代表する名ディフェンダー。
DF 3 M・ペルニア 2006年のワルードカップに出場。
MF 14 シャビ・アロンソ 2006年、2010年、2014年のワルードカップに出場。2000年代から2010年代のスペインを代表する名ピボーテ。
MF 18 セスク・ファブレガス 2006年、2010年、2014年のワルードカップに出場。2000年代から2010年代のスペインを代表するファンタジスタ。
MF 8 シャビ ▼72分 2002年、2006年、2010年、2014年のワルードカップに出場。1990年代後半から2010年代前半のスペインを代表する史上最高の選手の一人。現バルセロナ監督。
FW 7 ラウール Ⓒ ▼54分 1998年、2002年、2006年のワルードカップに出場。1990年代後半から2000年代のスペインを代表する史上最高のストライカーの一人。
FW 9 フェルナンド・トーレス 2006年、2010年、2014年のワルードカップに出場。2000年代から2010年代のスペインを代表するストライカー。後年J・リーグのサガン鳥栖に選手として在籍。
FW 21 D・ビジャ ▼54分 2006年、2010年、2014年のワルードカップに出場。2000年代から2010年代のスペインを代表するストライカー。後年J・リーグのヴィッセル神戸に選手として在籍。
MF 11 ルイス・ガルシア △54分 2006年のワルードカップに出場。
FW 17 ホアキン △54分 2002年、2006年のワルードカップに出場。
MF 16 マルコス・セナ △72分 2006年のワルードカップに出場。
監督 ルイス・アラゴネス スペインを代表する名将。2006年のワルードカップに監督として出場。
出場選手(フランス)
GK 16 F・バルテズ 1998年、2002年、2006年のワルードカップに出場。1990年代から2000年代のフランスを代表するゴールキーパー。
DF 19 W・サニョル 2006年のワルードカップに出場。
DF 15 L・テュラム 1998年、2002年、2006年のワルードカップに出場。1990年代から2000年代のフランスを代表する名ディフェンダー。
DF 5 W・ギャラス 2006年、2010年のワルードカップに出場。
DF 3 E・アビダル 2006年、2010年のワルードカップに出場。
MF 4 P・ヴィエラ 1998年、2002年、2006年のワルードカップに出場。1990年代後半から2000年代のフランスを代表するディフェンシブミッドフィルダー。
MF 6 C・マケレレ 2002年、2006年のワルードカップに出場。1990年代から2000年代のフランスを代表するディフェンシブミッドフィルダー。
MF 22 F・リベリー 2006年、2010年のワルードカップに出場。2000年代から2010年代のフランスを代表するワイドアタッカー。
MF 7 F・マルダ ▼74分 2006年、2010年のワルードカップに出場。
MF 10 Z・ジダン Ⓒ もはや説明不要の超ド級のスーパースター。
FW 12 T・アンリ ▼88分 1998年、2002年、2006年、2010年のワルードカップに出場。1990年代後半から2000年代のフランスを代表する史上最高のストライカーの一人。
FW 9 S・ゴブ △74分 2006年、2010年のワルードカップに出場。
FW 11 S・ヴィルトール △88分 2002年、2006年のワルードカップに出場。
監督 R・ドメネク フランス代表監督として2006年、2010年のワルードカップに出場し、2006年は準優勝に導いている。一方、2010年はチームを空中分解させてしまった。
試合結果
スペイン 1-3 フランス
得点 D・ビジャ(スペイン) 28分
F・リベリー(フランス) 41分
P・ヴィエラ(フランス) 83分
Z・ジダン(フランス) 90分+2分