両チームのグループリーグ戦
西ドイツはグループDを2勝1分の首位で突破して決勝トーナメント進出を決める。一方、オランダはグループFを3引き分けで終え、同グループのアイルランドと勝点、得失点差、総得点で並んだ為、抽選で2位と3位を決めることになった。抽選の結果、2位アイルランド、3位オランダに決まりオランダは決勝トーナメント1回戦で西ドイツと対戦することが決まった。
試合
キックオフから両チームとも一進一退の流れが続いていたが、21分にライカールとフェラーが小競り合いを起こし、両者にレッドカードが提示されて退場になった。騒然としたなか試合が進行していき、30分過ぎから西ドイツがペースをつかみ始めたところで前半終了となった。
後半に入った51分、左サイドでパスを受けたブッフバルドが持ち上がってゴール前に折り返し、詰めてきたクリンスマンがゴールに流し込んで西ドイツが先制点を挙げた。先制した西ドイツは守備を固めてからのカウンターにシフトチェンジし、オランダがボールキープする展開になる。
オランダがなかなか得点を奪えずに時間が経過していった85分、CKのこぼれ球からブレーメがペナルティエリア内の左サイドの角からシュートを決めてオランダを突き放す2点目を挙げる。その後はオランダの反撃をクーマンのPKだけに抑えた西ドイツが勝利し、ベスト8に進出した。
試合の分岐点
分岐点は試合開始20分しか経過してない中での、ライカールトとフェラーの退場に尽きる。小競り合いの原因は諸説あるみたいだが、ここでは割愛して、両チームに与えた影響は、ツートップの一角フェラーを失った西ドイツよりも攻守の円滑油としてなくてはならない存在だったライカールトを失ったオランダの方がダメージは大きかった。
その後の両チーム
大一番を制した西ドイツは、その後も勝ち上がって決勝に進出し前回大会決勝で敗れたアルゼンチンにリベンジして通算3度目の優勝をすることになる。一方のオランダは2年前のEURO88で優勝し、今大会は優勝候補の一角として出場したが、グループリーグを3引き分けで終わるなど本来の実力を発揮できないまま大会を去ることになった。
出場選手(西ドイツ)
GK 1 B・イルクナー 1990年、1994年のワルードカップに出場。
DF 2 S・ロイター 1990年、1998年のワルードカップに出場。
DF 4 J・コーラー 1990年、1994年、1998年のワルードカップに出場。1980年代後半から1990年代のドイツを代表する名ストッパー。
DF 5 K・アウゲンターラー 1986年、1990年のワルードカップに出場。
DF 3 A・ブレーメ 1986年、1990年、1994年のワルードカップに出場。1980年代から1990年代前半のドイツを代表する左サイドバック。
MF 6 G・ブッフバルド 1990年、1994年のワルードカップに出場。後にJ・リーグの浦和レッズに選手と監督として在籍。
MF 10 L・マテウス Ⓒ 1982年、1986年、1990年、1994年、1998年のワルードカップに出場。1980年代から1990年代のドイツを代表する史上最高の選手の一人。1990年にバロンドール受賞。
MF 7 P・リトバルスキー 1982年、1986年、1990年のワルードカップに出場。後にJ・リーグのジェフ市原に選手として在籍。
MF 14 T・ベルトールト 1986年、1990年、1994年のワルードカップに出場。
FW 18 J・クリンスマン ▼77 1990年、1994年、1998年のワルードカップに出場。1980年代後半から1990年代のドイツを代表するストライカー。後にドイツ代表監督に就任し、2006年の自国開催のワールドカップに監督として出場し3位入賞。
FW 9 R・フェラー 1986年、1990年、1994年のワルードカップに出場。1980年代から1990年代前半のドイツを代表するストライカー。後にドイツ代表監督に就任し、2002年の日韓ワールドカップに監督として出場し準優勝。
FW 13 K・リードレ △77 1990年、1994年のワルードカップに出場。
監督 F・ベッケンバウアー 1960年代後半から1980年代前半のドイツを代表する史上最高のスーパースター。1966年、1970年、1974年のワルードカップに出場し、1974年はキャプテンとして優勝に貢献。1986年、1990年のワルードカップに監督として出場し、1990年は優勝に導いている。また選手と監督の両方でワールドカップを制覇。1972年、1976年にバロンドール受賞。
出場選手(オランダ)
GK 1 H・ファン・ブロイケレン 1990年のワルードカップに出場。
DF 2 B・ファン・アーレ ▼66分 1990年のワルードカップに出場。
DF 3 F・ライカールト 1990年、1994年のワルードカップに出場。1980年代から1990年代前半のオランダを代表するオールラウンドミッドフィルダー。後にオランダ代表監督に就任。バルセロナの監督時代にメッシをプロデビューさせている。
DF 4 R・クーマン 1990年、1994年のワルードカップに出場。1980年代から1990年代前半のオランダを代表する名リベロ。現オランダ代表監督。
DF 5 A・ファン・ティヘレン 1990年のワルードカップに出場。
MF 6 J・ボウタース 1990年、1994年のワルードカップに出場。
MF 10 R・フリット Ⓒ 1990年のワルードカップに出場。1980年代から1990年代前半のオランダを代表するスタープレーヤー。1987年にバロンドール受賞。
MF 11 R・ビツィヘ ▼78分 1990年、1994年のワルードカップに出場。
MF 20 A・ヴィンター 1990年、1994年、1998年のワルードカップに出場。
FW 9 M・ファン・バステン 1990年のワルードカップに出場。1980年代から1990年代前半のオランダを代表する史上最高のストライカー。後にオランダ代表監督に就任し、2006年のワルードカップに監督として出場。1988年、1989年、1992年にバロンドール受賞。
FW 14 J・ファント・シップ 1990年のワルードカップに出場。
FW 12 W・キーフト △66分 1990年のワルードカップに出場。
FW 17 H・ヒルハウス △78分 1990年のワルードカップに出場。
監督 L・ベーンハッカー 1990年のワルードカップに監督として出場。
試合結果
西ドイツ 2-1 オランダ
得点 J・クリンスマン(西ドイツ) 51分
A・ブレーメ(西ドイツ) 85分
R・クーマン(オランダ) 89分