両国のグループリーグ戦
ブラジルはグループCを3戦全勝で首位通過してグループリーグを突破してきた。一方、ディフェンディングチャンピオン・アルゼンチンはグループBに入り、開幕戦でカメルーンに大金星を与えてしまい黒星スタートとなった。2戦目のソ連戦は勝利したが、3戦目のルーマニア戦を引き分けて、まさかのグループリーグ3位通過となり、決勝トーナメント1回戦でブラジルとの大一番を迎えることになった。
試合
試合は、いきなり開始30秒でカレカがドリブルで持ち込みシュートから始まった。それからはブラジルがボールキープして試合を支配していった。最大のチャンスは18分、ハーフェライン付近のルーズボールを拾ったカレカが左サイドのブランコにパスを出し、ブランコがゴール前にセンタリングを上げ、ドゥンガがヘディングシュートを撃つがポスト直撃でゴールならず。それ以降もブラジルがボールキープしていたが、30分頃からアルゼンチンもボールを繋げるようになり、中盤での潰しあいになっていったところで前半が終了した。
後半もブラジルペースで試合は進み、後半51分に左サイドでボールを受けたカレカがゴール前にクロスを上げるとクロスバーに当たり、さらにこのこぼれ球をブラジルが繋いでアレマンがシュートを撃つが、GKゴイコチェアが好セーブしてアルゼンチンはピンチを防いだ。
その後もブラジルペースで時間が経過していった後半81分、それまで激しいチャージで潰されていたマラドーナがドリブルで運び、ブラジルディフェンス4人を引き寄せて、フリーになったカニージャにスルーパスを出す。これをカニージャがGKタファレルをかわしてゴールに突き刺しアルゼンチンが先制した。
先制されたブラジルは選手2人交代して反撃を試みるが、直後の83分にバスアルドがフリーで抜け出したところをリカルド・ゴメスが後方から足を引っかけて一発レッドカードの退場になってしまった。もはや万事休すのブラジルは、最後にミューレルがフリーでシュートを撃つが枠を外し、その後アディショナルタイムも経過して1-0で試合が終了した。
決勝トーナメント1回戦で実現した大一番は、終始ブラジルに試合を支配されたアルゼンチンが残り10分で、たった一度のマラドーナの閃きで、ブラジルに引導を渡しベスト8に進出した。
その後の両国
ディフェンディングチャンピオンのアルゼンチンは、準々決勝でユーゴスラヴィアを、準決勝で開催国イタリアを、ともにPK戦で下して決勝に進出する。連覇をかけて対戦するのは西ドイツで、前回決勝の再戦となった。結局西ドイツにリベンジされて連覇はならず、準優勝に終わった。
ブラジルはベスト16の結果に終わったが、1966年のグループリーグ敗退以降では最悪の結果に終わった。ラザローニ監督は辞任し、ファルカンを経由してパレイラ監督が就任して、1994年のワールドカップに向けて指揮を執っていくことになる。
出場選手(ブラジル)
GK 1 C・タファレル 1990年、1994年、1998年のワルードカップに出場。
DF 21 M・ガウボン ▼84分 1986年、1990年のワルードカップに出場。
DF 2 ジョルジーニョ 1990年、1994年のワルードカップに出場。1980年代から1990年代のブラジルを代表する右サイドサイドバック。後年J・リーグの鹿島アントラーズに選手と監督として在籍。
DF 19 リカルド・ローシャ 1990年、1994年のワルードカップに出場。
DF 3 リカルド・ゴメス Ⓒ 1990年のワルードカップに出場。
DF 6 ブランコ 1986年、1990年、1994年のワルードカップに出場。1980年代から1990年代前半のブラジルを代表する左サイドバック。
MF 4 ドゥンガ 1990年、1994年、1998年のワルードカップに出場。1980年代から1990年代のブラジルを代表するディフェンシブミッドフィルダー。後にブラジル代表監督に就任し、2010年のワールドカップに監督として出場。後年J・リーグのジュピロ磐田に選手として在籍。
MF 5 アレマン ▼84分 1986年、1990年のワルードカップに出場。
MF 8 ヴァウド 1986年、1990年のワルードカップに出場。後にJ・リーグの名古屋グランパスに選手として在籍。
FW 15 ミューレル 1986年、1990年、1994年のワルードカップに出場。後にJ・リーグの柏レイソルに選手として在籍。
FW 9 カレカ 1986年、1990年のワルードカップに出場。1980年代から1990年代前半のブラジルを代表するストライカー。後にJ・リーグの柏レイソルに選手として在籍。
MF 10 P・シーラス △84分 1986年、1990年のワルードカップに出場。後にJ・リーグの京都パープルサンガに選手として在籍。
FW 17 レナト・ガウショ △84分 1990年のワルードカップに出場。
監督 S・ラザローニ 1990年のワルードカップに監督として出場。後にJ・リーグの横浜F・マリノスに監督として在籍。
出場選手(アルゼンチン)
GK 12 S・ゴイコチェア 1990年のワルードカップに出場。
DF 20 J・シモン 1990年のワルードカップに出場。
DF 15 P・モンソン 1990年のワルードカップに出場。
DF 19 O・ルジェリ 1986年、1990年、1994年のワルードカップに出場。1980年代から1990年代のアルゼンチンを代表するセンターバック。
MF 4 J・バスアルド 1990年、1984年のワルードカップに出場。
MF 21 P・トログリオ ▼61分 1990年のワルードカップに出場。後にJ・リーグのアビスパ福岡に選手として在籍。
MF 14 R・ジュスティ 1986年、1990年のワルードカップに出場。
MF 16 J・オラルティコエチェア 1986年、1990年のワルードカップに出場。
MF 7 J・ブルチャガ 1986年、1990年のワルードカップに出場。
FW 8 C・カニージャ 1990年、1994年、2002年のワルードカップに出場。1980年代後半から2000年代前半のアルゼンチンを代表するストライカー。
FW 10 D・マラドーナ Ⓒ もはや説明不要の超ド級のスーパースター。
MF 6 G・カルデロン △61分 1982年、1990年のワルードカップに出場。
監督 C・ビラルド アルゼンチンを代表する名将。1986年、1990年のワルードカップに監督として出場し、1986年は優勝に導いている。
試合結果
ブラジル 0-1 アルゼンチン
得点 C・カニージャ(アルゼンチン) 81分