1986FIFAワールドカップ準々決勝 アルゼンチンVSイングランド

両チームの勝ち上がり状況

 アルゼンチンはグループAを2勝1分で1位通過し、決勝トーナメント1回戦ではウルグアイを下してベスト8に進出した。一方、イングランドはグループFの初戦でポルトガルに敗れ、2戦目のモロッコ戦もスコアレスドローに終わりグループリーグ敗退の危機だったが、3戦目はリネカーのハットトリックでポーランドを退けて2位通過を決める。決勝トーナメント1回戦ではパラグアイを3-0で下してベスト8に進出した。

試合

 立ち上がりは静かな展開で始まったが、次第にアルゼンチンがボールをキープしてペースを掴みイングランドゴールを脅かしたが、前半はスコアレスで終了した。試合が動いたのは後半立ち上がりの51分、マラドーナが中央を突破してヴァルダーノとワンツーを狙ったがパスがそれて、ディフェンスに戻っていたホッジがクリアを試みるもGKの前に浮き上がり、マラドーナとシルトンが競り合った結果、ボールがゴールに吸い込まれていった。競り合った際にマラドーナが「手を使った」とイングランド側は猛抗議したがゴールは認められ、アルゼンチンが先制した。これがかの有名な神の手ゴールである。

 さらにその3分後の54分、ハーフェーラインの自陣手前からパスを受けたマラドーナはイングランドDFを次々と抜き去り、GKもかわして追加点を挙げる。これもかの有名な5人抜きのスーパーゴールである。

 2点差にされたイングランドはワドル、バーンズを交代投入して猛攻をしかけるが、80分にバーンズからのクロスをリネカーがヘディングで押し込んで1点を返すのが精一杯でタイムアップ。アルゼンチンが2ー1でイングランドを下してベスト4に進出した。

その後の両チーム

 アルゼンチンは準決勝でベルギー、決勝で西ドイツを破りこの大会を優勝する。原動力はもちろんマラドーナであり、後にこの大会は「マラドーナのマラドーナによるマラドーナのための大会」と呼ばれることになる。

 イングランドではこの試合で得点したリネカーが通算6得点を挙げ得点王になった。また今大会の大半がメンバーに残り、4年後のイタリア大会ではベスト4まで進出することになる。

出場選手(アルゼンチン)

 GK 18 N・プンピード                                                                                                                                                                      1986年、1990年のワルードカップに出場。                                                      

 DF 9 J・クシューフォ                                                                                                                                                                     1986年のワルードカップに出場。

 DF 5 J・ブラウン                                                                                                                1986年のワルードカップに出場。

 DF 19 O・ルジェリ                                                                                                                                                                                   1986年、1990年、1994年のワルードカップに出場。1980年代から1990年代のアルゼンチンを代表するセンターバック。                                                                                                           

 MF 16 J・オラルティコエチェア                                                                                                        1986年、1990年のワルードカップに出場。

 MF 14 R・ジュスティ                                                                                                                1986年、1990年のワルードカップに出場。                                                         

 MF 2 S・バティスタ                                                                                                                   1986年、1990年のワルードカップに出場。後にアルゼンチン代表監督に就任。                                    

 MF 7 J・ブルチャガ ▼75分                                                                                                      1986年、1990年のワルードカップに出場。                                    

 MF 12 H・エンリケ                                                                                                               1986年のワルードカップに出場。                                                                      

 FW 10 D・マラドーナ Ⓒ                                                                                                                                 もはや説明不要の超ド級のスーパースター。

 FW 11 J・ヴァルダーノ                                                                                                             1982年、1986年のワルードカップに出場。1970年代から1980年代のアルゼンチンを代表するストライカー。レアル・マドリードの監督時代にレアルの至宝ラウールをプロデビューさせている。                                                           

 MF 21 C・タピア △75分                                                                                                            1986年のワルードカップに出場。

 監督 C・ビラルド                                                                                                                                                                                           アルゼンチンを代表する名将。1986年、1990年のワルードカップに監督として出場し、1986年は優勝に導いている。                                                                            

出場選手(イングランド)

 GK 1 P・シルトン Ⓒ                                                                                                                                                                          1982年、1986年、1990年のワルードカップに出場。1970年代から1990年代前半のイングランドを代表するゴールキーパー。                                                                   

 DF 2 G・スティーヴンス                                                                                                                   1986年、1990年のワルードカップに出場。

 DF 3 K・サンソム                                                                                                                           1982年、1986年のワルードカップに出場。

 DF 14 T・フェンウィック                                                                                                              1986年のワルードカップに出場。

 DF 6 T・ブッチャー                                                                                                                    1982年、1986年、1990年のワルードカップに出場。

 MF 17 T・スティーヴン ▼74分                                                                                                        1986年、1990年のワルードカップに出場。

 MF 4 G・ホドル                                                                                                                                    1982年、1986年のワルードカップに出場。後にイングランド代表監督に就任し、1998年のワルードカップに監督として出場。                                                                                     

 MF 16 P・リード ▼64分                                                                                                                         1986年のワルードカップに出場。

 MF 18 S・ホッジ                                                                                                                                               1986年のワルードカップに出場。この試合後にマラドーナとユニフォームを交換している。

 FW 20 P・ベアズリー                                                                                                                  1986年、1990年のワルードカップに出場。

 FW 10 G・リネカー                                                                                                                                                                           1986年、1990年のワルードカップに出場し、1986年は得点王。1980年代から1990年代前半のイングランドを代表するストライカー。後にJ・リーグの名古屋グランパスで選手として在籍。                                                                                 

 FW 11 C・ワドル △64分                                                                                                                                                                   1986年、1990年のワルードカップに出場。1980年代から1990年代前半のイングランドを代表するオフェンシブミッドフィルダー。

 FW 19 J・バーンズ △74分                                                                                                           1986年、1990年のワルードカップに出場。

 監督 B・ロブソン                                                                                          イングランドを代表する名将。1986年、1990年のワルードカップに監督として出場し、1990年はベスト4に導いている。1992年に就任したポルトガルのスポルティング・リスボンの監督時の通訳が、のちに世界的名将となるJ・モウリーニョである。その後FCポルト、バルセロナの監督時にもモウリーニョをアシスタントコーチとして呼んでいる。

試合結果

   アルゼンチン 2-1 イングランド

得点 D・マラドーナ(アルゼンチン) 51分

   D・マラドーナ(アルゼンチン) 54分

   G・リネカー(イングランド)  80分  

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