両国のグループリーグ戦
2大会ぶりの優勝を目指すアルゼンチンはグループAに入り、ディフェンディングチャンピオンのイタリア、韓国、ブルガリアと同組人なり、2勝1分の首位でグループリーグを通過して決勝トーナメントに進出してきた。一方の南米王者ウルグアイは今大会最激戦区のグループEに入り、前回大会準優勝の西ドイツ、EURO1984ベスト4のデンマーク、スコットランドと同組になり、2分1敗と際どく3位で通過して決勝トーナメントに進出してきた。
そして準々決勝進出をかけた決勝トーナメント1回戦の対戦は、お互いを知り尽くした南米同士のライバル決戦となった。
試合
試合はお互いに様子見合いながら始まっていき、静かな展開の立ち上がりとなった。前半11分、中盤でマラドーナがボールを奪って左に流れていき、ウルグアイゴール前に折り返しのクロスを上げたがヴァルダーノには合わなかった。21分にはアルゼンチンがウルグアイペナルティエリア外30mの位置から、マラドーナが直接狙ったがクロスバーを直撃してゴールにならず。
前半30分、アルゼンチンが左サイドのCKからショートコーナーでブルチャガがゴール前にクロスを上げ、ルジェリがヘディングで合わせたがクロスバーを超えてゴールにはならなかった。一方のウルグアイもセットプレーから何度かチャンスを掴んだが得点には至らなかった。
迎えた前半42分、マラドーナがボールをキープしてバティスタ、ブルチャガと繋いでウルグアイペナルティエリア内入り、ブルチャガとウルグアイDFの競り合ったボールがウルグアイゴール前でフリーのパスクリの前に転がり、これをパスクリが落ち着いて決めてアルゼンチンが先制点を挙げた。
先制されたウルグアイは、前半終了間際にフランチェスコリがシュートを撃ったが枠を外れてしまい、その後のCKもゴールを割るまでには至らず、前半は1-0のアルゼンチンリードでハーフタイムに入っていった。
後半に入るとリードしているアルゼンチンペースで始まり、48分に右サイドを突破したマラドーナがウルグアイゴール前に折り返し、パスクリが飛び込んだが合わせることが出来なかった。53分にはマラドーナが右サイドのパスクリにパスを出し、パスクリがゴール前に折り返したところをブルチャガがシュートを撃ったが、アセベドがヘディングでクリアしてゴールにはならなかった。
後半66分、マラドーナが自陣エリア中央から持ち上がって右サイドのヴァルダーノにパスを出し、ヴァルダーノが持ち込んでシュートを撃ったがGKアルバス手で弾き、そのこぼれ球をマラドーナが押し込んでゴールを割ったが、攻め上がる途中でウルグアイDFにファウルをしていたため、ゴール無効となり追加点とはならなかった。
後半70分過ぎからは追いかけるウルグアイが反撃し、73分に右サイドのスローインからパスがボレーシュートを、75分にサティンがミドルシュートをそれぞれ撃ったが枠を外れてゴールにはならず。88分にパスのシュートをGKプンピードがセーブし、こぼれ球をフランチェスコリが詰めたがゴールにはならなかった。
そして試合は1-0のまま終了し、アルゼンチンが南米王者のウルグアイを下して準々決勝進出を決めた。
その後の両国
南米決戦を制して2大会ぶりの優勝を狙うアルゼンチンは、準々決勝のイングランド戦と準決勝のベルギー戦をともにマラドーナの2ゴールで下して決勝に進出した。そして決勝の西ドイツ戦で最後にマラドーナが決勝点をアシストして3-2で破り、2大会ぶりの優勝を果たすことになった。
南米王者のウルグアイは、今大会4試合を2分2敗と一度も勝利することなく大会に別れを告げることになった。今大会のウルグアイは4試合で2人の退場者を出すなど少々ラフプレーが多く、ダーティーな試合が多かったように思われた。アルゼンチン戦もスコアこそ0-1だったが内容は完敗であった。
出場選手(アルゼンチン)
GK 18 N・プンピード 1986年、1990年のワールドカップに出場。
DF 5 J・L・ブラウン 1986年のワールドカップに出場。
DF 13 O・ガレ 1986年のワールドカップに出場。
DF 9 J・L・クシューフォ 1986年のワールドカップに出場。
DF 19 O・ルジェリ 1986年、1990年、1994年のワールドカップに出場。1980年代から1990年代のアルゼンチンを代表する史上最高のディフェンダーであり、南米を代表するディフェンダーの一人。
MF 2 S・バティスタ ▼85分 1986年、1990年のワールドカップに出場。後年J・リーグの鳥栖フューチャーズに選手と監督として在籍し、アルゼンチン代表監督に就任する。
MF 14 R・ジュスティ 1986年、1990年のワールドカップに出場。
MF 7 J・ブルチャガ 1986年、1990年のワールドカップに出場。
MF 10 D・マラドーナ Ⓒ もはや説明不要の超ド級のスーパースター。
FW 17 P・パスクリ 1986年のワールドカップに出場。
FW 11 J・ヴァルダーノ 1982年、1986年のワールドカップに出場。1970年代から1980年代のアルゼンチンを代表するストライカー。レアル・マドリードの監督時代にレアルの至宝ラウールをプロデビューさせている。
MF 16 J・オラルティコエチェア △85分 1982年、1986年、1990年のワールドカップに出場。
監督 C・ビラルド アルゼンチンを代表する史上最高の監督の一人。1986年、1990年のワールドカップに監督として出場し、1986年は優勝に導いている。
出場選手(ウルグアイ)
GK 12 F・アルバス 1986年、1990年のワールドカップに出場。
DF 2 N・グティエレス 1986年、1990年のワールドカップに出場。
DF 3 E・アセベド ▼61分 1986年のワールドカップに出場。後年J・リーグに上がる前のコンサドーレ札幌に選手として在籍する。
DF 14 D・ペレイラ 1986年のワールドカップに出場。1970年代後半から1990年代前半のウルグアイを代表するディフェンダーであり、南米を代表するディフェンダーの一人。後年J・リーグに上がる前のガンバ大阪に選手として在籍する。
DF 15 E・リベロ 1986年のワールドカップに出場。
MF 5 M・ボッシオ 1986年のワールドカップに出場。
MF 8 J・バリオス Ⓒ 1986年のワールドカップに出場。
MF 11 S・サンティン 1986年のワールドカップに出場。
MF 10 E・フランチェスコリ 1986年、1990年のワールドカップに出場。1980年代から1990年代のウルグアイを代表する史上最高の選手の一人であり、南米を代表する史上最高の選手の一人である。フランスのスーパースター・ジダンが最も憧れた選手である。
FW 21 W・カブレラ ▼46分 1986年のワールドカップに出場。
FW 19 V・ラモス 1986年のワールドカップに出場。
FW 9 J・ダ・シルバ △46分 1986年のワールドカップに出場。
MF 18 L・パス △61分 1986年、1990年のワールドカップに出場。1980年代から1990年代のウルグアイを代表するミッドフィルダー。
監督 O・ボラス 1986年のワールドカップに監督として出場。
試合結果
1986年6月16日 エスタディオ・クアウテモック(プエブラ)
アルゼンチン 1-0 ウルグアイ
得点 P・パスクリ(アルゼンチン) 42分