両国の欧州予選グループ戦
2大会連続出場を目指すベルギーは欧州予選グループ1に入り、ポーランドと勝点と得失点差で並んだものの総得点で下回ってしまい、グループ2位通過となりプレーオフに回ることになった。一方のオランダは欧州予選グループ5に入り、ハンガリーは優位に予選を消化して首位になり、3位のオーストリアと勝点は並んだものの得失点差で上回って、かろうじて2位通過してプレーオフに回ってきた。
こうして欧州予選プレーオフのカードは、ベルギーとオランダの隣国ライバル対決になった。この両国は前回大会の欧州予選でも同グループで対戦しており、その時はお互いホームでそれぞれ勝利して1勝1敗だったが、本大会に出場したのはベルギーでオランダは予選敗退の屈辱に終わっていた。
そして今回も本大会出場権をかけてプレーオフで激突することになり、第1戦はベルギーのホームで対戦することになった。
試合
プレーオフ第1戦はベルギーのホームで行われ、開始1分にアウェーのオランダが左サイドからライカールトがファン・バステンにパスを送り、ファン・バステンがシュートを撃ったがベルギーDFにあたってゴールならず。その直後の3分、ゲレツがセンターサークル内でフリットにチャージを受けてファウルを獲得した。このFKをヴェルコーテレンがすぐに始めようとした時にキーフトが前に立つと、キックが足にあたってしまい、キーフトが報復でヴェルコーテレンの顔面にパンチを喰らわせて一発レッドカードの退場処分になってしまった。
試合開始4分で早くも1人少なくなってしまったオランダにホームのベルギーが攻め込み前半7分、右サイドのCKをショートコーナーでヴェルコーテレンがクロスを上げ、クーレマンスが頭で合わせたが枠を外れてしまう。オランダも反撃して前半9分にフリット、17分にワインステカースがそれぞれシュートを撃ったがゴールにはならなかった。
迎えた前半20分、左サイドからクレーセンがオランダペナルティエリア内にクロスを上げ、クーレマンスが頭でヴェルコーテレンに渡し、ヴェルコーテレンがカットインしてミドルシュートを撃ってオランドゴールに突き刺し、ホームのベルギーが先制点を挙げた。
さらにベルギーはチャンスを作り前半24分にヴェルコーテレンからのパスをL・ファン・デル・エルストが、32分に右サイドからゲレツがクロスを上げてクーレマンスがそれぞれシュートを撃ったが追加点にはならなかった。そして前半は1-0のままホームのベルギーリードで終了してハーフタイムに入っていった。
後半はベルギーペースで始まり、54分にヴェルコーテレンが左サイドのヴァンデレイケンにパスを出し、ヴァンデレイケンがオランダゴール前にクロスを上げてヴァンデンベルグが頭で合わせたが枠を外してしまう。その後もベルギーがボールをキープして攻め込み、オランダはアウェーで1人少ないこともあってか、ブロックを組んでこれ以上の失点を避ける戦術に変えていった。
オランダが攻めてこないと踏んだベルギーのタイス監督は、後半68分にグルンを下げてチェルニアチンスキーを投入して攻撃を強化していき、ベルギーとしてもホームで開始早々に1人多い状況で、1得点だけでは物足りずに追加点を狙いにいった。
すると後半74分にレンカン→クーレマンス→ヴェルコーテレンと繋いでクロスを上げ、チェルニアチンスキーが頭で合わせてゴールを狙ったが枠を外してしまう。さらにL・ファン・デル・エルスト、ゲレツ、ヴァンデレイケンがそれぞれシュートを放ったがオランダゴールを割るには至らず、試合は1-0のまま終了してプレーオフ第1戦はホームのベルギーが先勝した。そして勝負の行方は1か月後のオランダホームで雌雄を決することになった。
出場選手(ベルギー)
GK 1 J・M・パァフ 1982年、1986年のワールドカップに出場。1970年代から1980年代のベルギーを代表する史上最高のゴールキーパーであり、欧州を代表するゴールキーパーの一人。
DF 2 E・ゲレツ 1982年、1986年、1990年のワールドカップに出場。1970年代から1990年代前半のベルギーを代表する右サイドバック。
DF 3 G・グルン ▼68分 1986年、1990年、1994年のワールドカップに出場。1980年代から1990年代のベルギーを代表するディフェンダー。
DF 4 F・ファン・デル・エルスト 1986年、1990年、1994年、1998年のワールドカップに出場。1980年代から1990年代のベルギーを代表するディフェンダー。
DF 5 M・レンカン 1982年、1986年のワールドカップに出場。
MF 6 F・ヴェルコーテレン 1982年、1986年のワールドカップに出場。1970年代から1980年代のベルギーを代表するウインガー。後年ベルギー代表監督に就任する。
MF 7 R・ヴァンデレイケン 1986年のワールドカップに出場。後年ベルギー代表監督に就任する。
MF 8 L・ファン・デル・エルスト 1986年のワールドカップに出場。元ベルギー代表のフランソワ・ファン・デル・エルストは実兄である。
MF 10 N・クレーセン 1986年、1990年のワールドカップに出場。
FW 9 E・ヴァンデンベルグ 1982年、1986年のワールドカップに出場。
FW 11 J・クーレマンス Ⓒ 1982年、1986年、1990年のワールドカップに出場。1970年代から1990年代前半のベルギーを代表する史上最高の選手の一人。
FW 16 A・チェルニアチンスキー 1982年、1994年のワールドカップに出場。
監督 G・タイス ベルギーを代表する史上最高の監督。1982年、1986年、1990年のワールドカップに監督として出場し、1986年は4位入賞。
出場選手(オランダ)
GK 1 F・ファン・ブロイケレン 1990年のワールドカップに出場。
DF 4 M・ファン・デ・コルプット
DF 5 R・スペルボス
DF 6 F・ライカールト 1990年、1994年のワールドカップに出場。1980年代から1990年代前半のオランダを代表する史上最高の選手の一人であり、欧州を代表する史上最高の選手の一人。後年オランダ代表監督に就任する。バルセロナ監督時代にメッシをプロデビューさせている。
MF 2 B・ワインステカース Ⓒ
MF 3 A・ファン・ティゲレン 1990年のワールドカップに出場。
MF 7 R・フリット ▼84分 1990年のワールドカップに出場。1980年代から1990年代のオランダを代表する史上最高の選手の一人であり、欧州を代表する史上最高の選手の一人。1987年にバロンドール受賞。
MF 8 W・ファン・デ・ケルクホフ 1974年、1978年のワールドカップに出場。元オランダ代表のレネ・ファン・デ・ケルクホフは実弟であり、アンドレ・オーイェルは義理の息子である。
FW 9 M・ファン・バステン 1990年のワールドカップに出場。1980年代から1990年代前半のオランダを代表する史上最高の選手の一人であり、欧州を代表する史上最高の選手の一人。後年オランダ代表監督に就任し、2006年のワールドカップに出場。1988年、1989年、1992年にバロンドール受賞。
FW 10 W・キーフト 1990年のワールドカップに出場。
FW 11 R・デ・ウィット ▼87分
DF 12 E・オフォフ △84分
FW 15 S・タハマタ △87分
監督 L・ベーンハッカー 1990年のワールドカップに監督として出場。
試合結果
1985年10月16日 コンスタント・バンデン・ストック・スタジアム(ブリュッセル)
ベルギー 1-0 オランダ
得点 F・ヴェルコーテレン(ベルギー) 20分