ここまでのグループE
EURO1984でベスト4まで勝ち上がりワールドカップ本大会初出場となったデンマークは、初戦でスコットランドと対戦し1-0で勝利して幸先の良いスタートをきった。一方の南米王者ウルグアイは、初戦で優勝候補の一角の西ドイツと対戦し1-1の引き分けでまずまずのスタートをきっていた。
そして両国は第2戦で対戦することになり、この試合の前に西ドイツースコットランド戦が既に終わって2-1で西ドイツが勝って勝点を3に積み上げ、敗れたスコットランドは連敗となり脱落の気配が漂っていた。今大会最激戦区のグループEを勝ち抜くためにもお互いに負けられない一戦となった。
試合
試合はキックオフから激しい展開で始まり前半11分、中央でボールを受けたラウドルップが左のエルケーア・ラーセンにパスを出し、エルケーア・ラーセンがそのままシュートを撃ってゴールに突き刺し、早くもデンマークが先制点を挙げた。そして前半19分にボッシオがアーネセンにタックルを仕掛けて、この日2枚目のイエローカードを貰い退場処分となってしまった。
先制されたうえに残る時間70分を一人少ない状況になったウルグアイは、24分に右サイドのCKからの競り合いのボールを拾ったフランチェスコリがシュートを撃ったがGKラスムセンが防いでゴールならず。その後は人数に勝るデンマークがペースを掴み前半41分、カウンターから攻め込みエルケーア・ラーセンが左サイドからウルグアイゴール前に低いクロスを上げてレアビーがゴールに押し込みデンマークが追加点を挙げた。
2点差にしたデンマークは少し気が抜けたか42分、バティスタが出したスルーパスにオフサイドラインを抜け出したディオゴがGKラスムセンをかわしてシュートを撃ったっが、ポストにあたってゴールならず。そして前半終了間際の45分、フランチェスコリがデンマークペナルティエリア内に入り込んだところで倒されてPKを獲得し、これをフランチェスコリ自身がきっちり決めて追撃の1点を返した。ここで前半が終了し、2-1のデンマークリードで折り返しを迎えることになった。
後半に入り52分、ラウドルップがウルグアイペナルティエリア内にドリブルで持ち込み、ウルグアイDFとGKアルバスをかわしてゴールに蹴り込んでデンマークが再びリードを2点差に広げた。またしても2点差にされたウルグアイはサンティンとアルサメンディを下げてザラザールとラモスを投入して挽回を図ってきた。
ウルグアイはセットプレーからチャンスを作り後半63分、FKからバティスタが直接狙うが枠を外し、直後の左サイドのCKからアセベドがヘディングで合わせたが枠を外してしまう。66分には再びFKからバティスタが直接狙ったが枠を外れてしまった。
なかなか得点を奪えないウルグアイを尻目にデンマークは後半67分、中盤でのパス回しからスルーパスに反応したラウドルップが抜け出してGKアルバスと競り合い、こぼれ球をエルケーア・ラーセンがゴールに押し込みデンマークが4点目を挙げてさらにリードを広げた。このゴールで4-1となり、ほぼ試合の帰趨は決した感があった。
勢いが止まらいデンマークは80分にカウンターからエルケーア・ラーセンが、この日ハットトリックとなるゴールを決め、さらに試合終了間際の88分には交代出場のJ・オルセンが6点目となるゴールを挙げて試合を締めくくった。試合は6-1でデンマークが大勝してグループリーグ通過を決め、大敗を喫したウルグアイは予選通過に黄信号が灯ることになった。
その後の両国
ワールドカップ初出場のデンマークは、南米王者のウルグアイを6-1で粉砕してグループリーグ通過を決めた。そして最終戦の西ドイツ戦も勝利で終えてグループリーグを3戦全勝の首位で通過し、EURO1984のベスト4がフロックでないことを証明した。しかし、決勝トーナメント1回戦ではEURO準決勝でも対戦して敗れたスペインに1-5の大敗を喫して大会を去ることになった。
デンマークに予想外の大敗を喫した南米王者ウルグアイは、最終戦のスコットランド戦もキックオフ早々に退場者を出してスコアレスドローに終わった。結局グループリーグを2分1敗の3位で終わったが、際どいながらも決勝トーナメントに進出できた。決勝トーナメント1回戦では同じ南米のアルゼンチンに敗れて大会に別れを告げた。
出場選手(デンマーク)
GK 1 T・ラスムセン 1986年のワールドカップに出場。
DF 3 S・バスク 1986年のワールドカップに出場。
DF 4 M・オルセン Ⓒ 1986年のワールドカップに出場。1970年代から1980年代のデンマークを代表する史上最高選手の一人。後年デンマーク代表監督に就任し、2002年、2010年のワールドカップに監督として出場。
DF 5 I・ニールセン 1986年のワールドカップに出場。
DF 21 H・アンデルセン 1986年のワールドカップに出場。
DF 12 J・J・ベルテルセン ▼57分 1986年のワールドカップに出場。
MF 6 S・レアビー 1986年のワールドカップに出場。
MF 15 F・アーネセン 1986年のワールドカップに出場。
MF 11 M・ラウドルップ ▼81分 1986年、1998年のワールドカップに出場。1980年代から1990年代のデンマークを代表する史上最高の選手であり、欧州を代表するオフェンシブミッドフィルダーの一人。後年J・リーグのヴィッセル神戸に選手として在籍する。元デンマーク代表ブライアン・ラウドルップは実弟である。
FW 9 K・バーググリーン 1986年のワールドカップに出場。
FW 10 P・エルケーア・ラーセン 1986年のワールドカップに出場。1970年代後半から1980年代のデンマークを代表する史上最高ストライカーの一人であり、欧州を代表するストライカーの一人。
MF 7 J・モルビー △57分 1986年のワールドカップに出場。
MF 8 J・オルセン △81分 1986年のワールドカップに出場。
監督 S・ピオンテック ドイツ人でデンマークを代表する史上最高の監督。1986年のワールドカップに監督として出場。
出場選手(ウルグアイ)
GK 12 F・アルバス 1986年、1990年のワールドカップに出場。
DF 2 N・グティエレス 1986年、1990年のワールドカップに出場。
DF 3 E・アセベド Ⓒ 1986年のワールドカップに出場。後年J・リーグに上がる前のコンサドーレ札幌に選手として在籍する。
DF 4 V・ディオゴ 1986年のワールドカップに出場。
DF 6 J・バティスタ 1986年のワールドカップに出場。
MF 5 M・ボッシオ 1986年のワールドカップに出場。
MF 16 M・サラレギ 1986年のワールドカップに出場。
MF 11 S・サティン ▼57分 1986年のワールドカップに出場。
MF 10 E・フランチェスコリ 1986年、1990年のワールドカップに出場。1980年代から1990年代のウルグアイを代表する史上最高の選手の一人であり、南米を代表する史上最高の選手の一人。フランスのスーパースター・ジダンが最も憧れた選手である。
FW 9 J・ダ・シルバ 1986年のワールドカップに出場。
FW 7 A・アルサメンディ ▼57分 1986年、1990年のワールドカップに出場。
MF 17 J・ザラザール △57分 1986年のワールドカップに出場。
FW 19 V・ラモス △57分 1986年のワールドカップに出場。
監督 O・ボラス 1986年のワールドカップに監督として出場。
試合結果
1986年6月8日 エスタディオ・ネザ86(ネサワルコヨトル)
デンマーク 6-1 ウルグアイ
得点 P・エルケーア・ラーセン(デンマーク) 11分
S・レアビー(デンマーク) 41分
E・フランチェスコリ(ウルグアイ) 45分
M・ラウドルップ(デンマーク) 52分
P・エルケーア・ラーセン(デンマーク) 67分
P・エルケーア・ラーセン(デンマーク) 80分
J・オルセン(デンマーク) 88分