両国の1次リーグ
欧州王者西ドイツは1次リーグ・グループ2に入り、初戦のアルジェリア戦でまさかの敗戦を喫して黒星スタートとなってしまった。第2戦のチリ戦は持ち直して4-1で快勝して最終戦を迎えることになった。そして最終戦のオーストリア戦は、「ヒホンの恥」で悪名高い試合となったが1-0で乗り切り、1次リーグを首位で通過してきた。
12年ぶりの出場となったイングランドは1次リーグ・グループ4に入り、3戦全勝の首位で1次リーグを通過してきた。イングランドの懸念は1978年と1979年にバロンドールを受賞したエース・キーガンの怪我の回復具合であった。結局1次リーグは全試合欠場となり、2次リーグに間に合うかどうかがイングランドの命運を握っていた。
そして両国に開催国のスペインを加えた3カ国で2次リーグのグループBに入り、初戦で激突することになった。
試合
イングランドは結局この試合もエース・キーガンは出場選手にエントリーされずに臨むことになった。試合は両チーム拮抗した展開で進んでいき、それぞれウィルキンス、ミュラーがミドルシュートを撃ったぐらいだった。
前半20分、左サイドからサンソムが西ドイツペナルティエリア内にクロスを放り込み、マリナーがバックヘッドでそらしてロブソンがヘディングシュートを撃ったが枠を外れてしまった。直後の21分、今度は西ドイツがチャンスを掴み右サイドを突破したブライトナーがイングランドゴール前に折り返し、ルンメニゲが飛び込んだが合わずにボールはそれていった。
続く前半36分、左サイドからB・フェルスターが縦パスでブライトナーに渡し、ブライトナーがドリブルで突破してシュートを撃ったがGKシルトンに防がれてしまう。今度はイングランドが直後に右サイドからリックスが西ドイツペナルティエリア付近にクロスを入れ、ロブソンが胸トラップからシュートを撃ったが枠を外れていった。このまま互角の展開で進んでいき、スコアレスのまま前半は終了してハーフタイムに入っていった。
後半に入っても状況は変わらず、西ドイツはラインダースとミュラーを下げて、リトバルスキーとフィッシャーを投入して打開を図ってきた。イングランドもフランシスを下げてウッドコックを投入して打開を図ってきた。
しかし、両チームとも決定的チャンスを作ることが出来ず、85分に唯一ルンメニゲのミドルシュートがクロスバーを直撃したくらいであった。そして試合はこのままスコアレスの0-0でタイムアップとなって2次リーグの初戦を終えた。
その後の両国
2次リーグ初戦を引き分けた欧州王者西ドイツは、第2戦で開催国のスペインを破って準決勝に進出した。準決勝のフランス戦は歴代ワールドカップの中でも屈指の名勝負となり、死闘の末にフランスを下して決勝に進出した。しかし決勝ではイタリアに敗れて準優勝で大会を終えることになった。
2大会ぶりの出場となったイングランドは、西ドイツ対スペイン戦の結果を受けて最終戦のスペイン戦を迎えたが、スコアレスのドローに終わり西ドイツに勝点で及ばず2次リーグ敗退となった。今大会のイングランドは1次リーグは3戦全勝、2次リーグは2引き分けと無敗のまま大会を終えることになった。
出場選手(西ドイツ)
GK 1 H・シューマッハー 1982年、1986年のワールドカップに出場。1970年代から1980年代の西ドイツを代表する史上最高のゴールキーパーであり、欧州を代表するゴールキーパーの一人である。
DF 15 U・シュティーリケ 1982年のワールドカップに出場。1970年代から1980年代の西ドイツを代表するミッドフィルダーであり、欧州を代表するミッドフィルダーの一人。
DF 20 M・カルツ 1978年、1982年のワールドカップに出場。1970年代から1980年代の西ドイツを代表する右サイドバック。
DF 4 K・H・フェルスター 1982年、1986年のワールドカップに出場。1970年代後半から1980年代の西ドイツを代表する史上最高のストッパーの一人であり、欧州を代表するストッパーの一人。元西ドイツ代表のベルント・フェルスターは実兄である。
DF 2 H・P・ブリーゲル 1982年、1986年のワールドカップに出場。1970年代から1980年代の西ドイツを代表するディフェンダー。
MF 6 W・ドレムラー 1982年のワールドカップに出場。
MF 5 B・フェルスター 1982年のワールドカップに出場。元西ドイツ代表のカール・ハインツ・フェルスターは実弟である。
MF 3 P・ブライトナー 1974年、1982年のワールドカップに出場。1970年代から1980年代前半の西ドイツを代表する史上最高のミッドフィルダーの一人であり、欧州を代表するミッドフィルダーの一人。
MF 10 H・ミュラー ▼73分 1978年、1982年のワールドカップに出場。1970年代後半から1980年代の西ドイツを代表するオフェンシブミッドフィルダー。
FW 13 U・ラインダース ▼62分 1982年のワールドカップに出場。
FW 11 K・H・ルンメニゲ Ⓒ 1978年、1982年、1986年のワールドカップに出場。1970年代から1980年代の西ドイツを代表する史上最高の選手の一人であり、欧州を代表する史上最高の選手の一人。1980年、1981年にバロンドール受賞。J・リーグの浦和レッズでプレーしたミヒャエル・ルンメニゲは実弟である。
MF 7 P・リトバルスキー △62分 1982年、1986年、1990年のワールドカップに出場。1980年代から1990年代の西ドイツを代表するドリブラー。後年J・リーグのジェフ市原に選手として在籍し、アビスパ福岡に監督として在籍する。
FW 8 K・フィッシャー △73分 1978年、1982年のワールドカップに出場。1970年代から1980年代の西ドイツを代表するストライカー。
監督 J・デアヴァル 西ドイツを代表する名将の一人。1982年のワールドカップに監督として出場し、準優勝に導いている。
出場選手(イングランド)
GK 22 P・シルトン 1982年、1986年、1990年のワールドカップに出場。1970年代から1990年代前半のイングランドを代表する史上最高のゴールキーパーの一人であり、欧州を代表する史上最高のゴールキーパーの一人。
DF 12 M・ミルズ Ⓒ 1982年のワールドカップに出場。
DF 4 T・ブッチャー 1982年、1986年、1990年のワールドカップに出場。
DF 18 P・トンプソン 1982年のワールドカップに出場。
DF 17 K・サンソム 1982年、1986年のワールドカップに出場。
MF 5 S・コッペル 1982年のワールドカップに出場。
MF 16 B・ロブソン 1982年、1986年、1990年のワールドカップに出場。1970年代後半から1990年代前半のイングランドを代表するミッドフィルダー。
MF 19 R・ウィルキンス 1982年、1986年のワールドカップに出場。
MF 15 G・リックス 1982年のワールドカップに出場。
FW 8 T・フランシス ▼76分 1982年のワールドカップに出場。
FW 11 P・マリナー 1982年のワールドカップに出場。
FW 21 T・ウッドコック △76分 1982年のワールドカップに出場。
監督 R・グリーンウッド 1982年のワールドカップに監督として出場。
試合結果
1982年6月29日 サンティアゴ・ベルナベウ(マドリード)
西ドイツ 0-0 イングランド
得点 なし