両チームの勝ち上がり状況
大会2連覇中のディフェンディングチャンピオン・アヤックスは、出場チーム数の関係もあって2回戦からの登場となった。そして2回戦ではブルガリアのCSKAソフィアと対戦して、2試合合計6-1と快勝して準々決勝に進出を決めた。
前シーズンにブンデスリーガを制したバイエルン・ミュンヘンは、1回戦でトルコのガラタサライと対戦して2試合合計7-1と快勝して2回戦に進出した。そして2回戦ではキプロスのオモニアと対戦し、2試合合計13-0の記録的スコアで粉砕して準々決勝に進出を決めた。
こうして準々決勝でアヤックスとバイエルン・ミュンヘンが激突することになり、第1戦はアヤックスのホーム・オリンピックスタジアムで行われることになった。注目は両チームのキャプテン、クライフとベッケンバウアーのこの時代を代表するスーパースター同士の対決もこの試合の見どころの一つであった。
試合(前半)
2分 バイエルン・ミュンヘンのロートがイエローカードを貰う。
12分 バイエルン・ミュンヘンのベッケンバウアーが右サイドからドリブルでカットインしてシュートを打ったが枠を外れてゴールならず。
16分 アヤックスのレップが右サイドからクロスを上げ、クライフが飛び込んでいったが合わせることが出来ず。
25分 バイエルン・ミュンヘンがカウンターからヘーネスがスルーパスを出し、ロートがシュートを打ったがGKシュタイがセーブしてゴールならず。
33分 アヤックスがゴールキックからクライフがボールを受けて浮き球のパスをバイエルン・ミュンヘンペナルティエリア内に上げ、ニースケンスがシュートを打ったが枠を外れてゴールならず。
38分 アヤックスのレップが右サイドから低いクロスをバイエルン・ミュンヘンゴール前に入れ、GKマイヤーがキャッチミスをしてボールを後ろにそらしてしまったがゾベルがクリアして事なきを得た。
43分 アヤックスのサービエがクライフとのワンツーからシュートを打ったがゴールポストにあたって惜しくもゴールならず。
試合はアヤックスがボールをキープして攻め込み、バイエルン・ミュンヘンがカウンターで応酬する展開になっていった。そしてアヤックスが押し込む時間が多かったが、前半はスコアレスのまま終了して折り返しを迎えることになった。
試合(後半)
46分 アヤックスがゴールキックからレップがバイエルン・ミュンヘンDF2人と競り合いながらもシュートを打ったがGKマイヤーがセーブしてゴールならず。
50分 バイエルン・ミュンヘンが右サイドからベッケンバウアーがデュルンベルガーに縦パスを通し、デュルンベルガーがアヤックスペナルティエリア内にクロスを上げ、ヘーネスが頭で落としたところをホフマンがシュートを打ったが枠を外れてゴールならず。
53分 アヤックスのシルヒャーがミドルシュートを放ち、GKマイヤーが弾いたところをハーンが詰めてバイエルン・ミュンヘンゴールに押し込み、アヤックスが先制点を挙げる。(アヤックス1-0バイエルン・ミュンヘン)
54分 バイエルン・ミュンヘンのホフマンが右サイドから持ち上がってシュートを打ったがGKシュタイがセーブしてゴールならず。
68分 アヤックスのシルヒャーが右サイドからバイエルン・ミュンヘンゴール前にクロスを入れ、バイエルン・ミュンヘンDFのクリアボールをミューレンがダイレクトボレーでゴールに突き刺してアヤックスが追加点を挙げる。(アヤックス2-0バイエルン・ミュンヘン)
69分 アヤックスの左サイドのCKをクライフがクロスを入れ、ハーンが頭で合わせてバイエルン・ミュンヘンゴールに押し込んでアヤックスがさらにリードを広げる。(アヤックス3-0バイエルン・ミュンヘン)
75分 アヤックスのニースケンスがミドルシュートを打ったがGKマイヤーがセーブしてゴールならず。
89分 アヤックスが左サイドからクロルがバイエルン・ミュンヘンペナルティエリア内にクロスを上げ、クライフがヘディングでゴールに押し込んでアヤックスがダメ押しの追加点を挙げる。(アヤックス4-0バイエルン・ミュンヘン)
後半に入ってもアヤックスがボールをキープしてペースを握り、53分にハーンがゴールを決めてアヤックスが先制点を挙げる。そして68分にもミューレンがゴールを決めてアヤックスが追加点を挙げた。この2失点目はバイエルン・ミュンヘンにとって精神的ダメージは大きく、その1分後の69分にも再びハーンに得点を奪われてしまい、ほぼ勝敗は決した感があった。さらに試合終了間際にもクライフがダメ押しの4点目を挙げて、アヤックスが第1戦を4-0の快勝で締めくくった。
その後の両チーム
第1戦のホームのバイエルン・ミュンヘン戦を4-0で快勝したディフェンディングチャンピオンのアヤックスは、第2戦のアウェー戦は1-2で敗れたが2試合合計5-2で勝利して準決勝に進出した。準決勝ではスペインの名門レアル・マドリードを2試合合計3-1で下して3年連続の決勝に進出を決めた。そして決勝ではイタリアの名門・ユヴェントスを1-0で下して優勝し、大会3連覇の偉業を達成することになった。
第1戦のアウェー・アヤックス戦を0-4で大敗したバイエルン・ミュンヘンは、ホームの第2戦は意地を見せて2-1で勝利したが、2試合合計2-5となって準々決勝敗退が決まった。だが、翌シーズンもチャンピオンズカップに出場したバイエルン・ミュンヘンは初優勝を飾ることになり、ここからアヤックスと同様に3連覇を達成することになった。
出場選手(アヤックス)
GK 1 H・シュタイ 1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。
DF 2 H・シルヒャー 1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。
DF 3 W・サービエ 1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。
DF 5 R・クロル 1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。1970年代から1980年代中盤のオランダを代表する史上最高史上最高のディフェンダーの一人であり、欧州を代表するディフェンダーの一人。
DF 12 H・ブランケンブルク 1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。
MF 7 J・ニースケンス 1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。1970年代から1980年代中盤のオランダを代表する史上最高選手の一人であり、欧州を代表する史上最高の選手の一人。
MF 14 J・クライフ Ⓒ 1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。1960年代中盤から1980年代初頭のオランダを代表する史上最高の選手であり、世界を代表する史上最高の選手の一人。後年アヤックスとバルセロナの監督に就任し、1992年にバルセロナの監督としてチャンピオンズカップ優勝に導いている。1971年、1973年、1974年にバロンドール受賞。
MF 15 A・ハーン 1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。1960年代終盤から1980年代中盤のオランダを代表するミッドフィルダー。
FW 9 G・ミューレン 1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。元オランダ代表のアーノルド・ミューレンは実弟である。
FW 11 P・カイザー 1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。1960年代から1970年代中盤のオランダを代表する史上最高左ウインガーの一人。
FW 16 J・レップ 1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。1970年代から1980年代中盤のオランダを代表する右ウインガー。
監督 S・コヴァチ ルーマニアを代表する史上最高の監督。1972年、1973年にアヤックスの監督としてチャンピオンズカップ優勝に導いている。元ルーマニア代表のニコラエ・コヴァチは実兄である。
出場選手(バイエルン・ミュンヘン)
GK 1 S・マイヤー 1974年、1975年、1976年にバイエルン・ミュンヘンでチャンピオンズカップ優勝。1960年代から1970年代の西ドイツを代表する史上最高のゴールキーパーであり、欧州を代表する史上最高のゴールキーパーの一人。
DF 2 J・ハンセン 1974年、1975年、1976年にバイエルン・ミュンヘンでチャンピオンズカップ優勝。
DF 3 P・ブライトナー 1974年にバイエルン・ミュンヘンでチャンピオンズカップ優勝。1970年代から1980年代初頭の西ドイツを代表する史上最高の選手の一人であり、欧州を代表する史上最高の選手の一人。
DF 4 H・G・シュヴァルツェンベック 1974年、1975年、1976年にバイエルン・ミュンヘンでチャンピオンズカップ優勝。1960年代中盤から1980年代初頭の西ドイツを代表するセンターバック。
DF 5 F・ベッケンバウアー Ⓒ 1974年、1975年、1976年にバイエルン・ミュンヘンでチャンピオンズカップ優勝。1960年代中盤から1980年代初頭の西ドイツを代表する史上最高の選手であり、世界を代表する史上最高の選手の一人。後年バイエルン・ミュンヘンの監督と会長に就任する。1972年、1976年にバロンドール受賞。
MF 6 F・ロート 1974年、1975年、1976年にバイエルン・ミュンヘンでチャンピオンズカップ優勝。
MF 7 B・デュルンベルガー 1974年、1975年、1976年にバイエルン・ミュンヘンでチャンピオンズカップ優勝。
MF 8 R・ゾベル 1974年、1975年、1976年にバイエルン・ミュンヘンでチャンピオンズカップ優勝。
FW 9 G・ミュラー 1974年、1975年、1976年にバイエルン・ミュンヘンでチャンピオンズカップ優勝。1960年代中盤から1970年代の西ドイツを代表する史上最高のストライカーであり、欧州を代表する史上最高のストライカーの一人。1970年にバロンドール受賞。
FW 10 U・ヘーネス 1974年、1975年、1976年にバイエルン・ミュンヘンでチャンピオンズカップ優勝。1970年代の西ドイツを代表するフォワード。後年バイエルン・ミュンヘンの会長に就任する。
FW 11 W・ホフマン 1974年にバイエルン・ミュンヘンでチャンピオンズカップ優勝。
監督 U・ラテック 西ドイツを代表する史上最高の監督の一人。1974年にバイエルン・ミュンヘンで監督としてチャンピオンズカップ優勝に導いている。
試合結果
1973年3月7日 オリンピックスタジアム(アムステルダム)
アヤックス 4-0 バイエルン・ミュンヘン
得点 A・ハーン(アヤックス) 53分
G・ミューレン(アヤックス) 68分
A・ハーン(アヤックス) 69分
J・クライフ(アヤックス) 89分