ウルグアイの勝ち上がり状況
南米王者ウルグアイはグループリーグで欧州王者のイタリア、スウェーデン、イスラエルと同組のグループ2に入り、初戦でイスラエルを2-0で勝利して白星で大会をスタートした。第2戦で欧州王者のイタリアとスコアレスドローの0-0で乗り切って最終戦のスウェーデン戦を迎えることになった。
そして最終戦のスウェーデン戦は0-1で敗れたが、得失点差でグループ2位で通過して準々決勝進出を決めた。準々決勝ではグループ1を首位で通過したソ連を延長戦の末に1-0で下して、4大会ぶり4回目の準決勝に進出を決めた。
ブラジルの勝ち上がり状況
前回大会でまさかのグループリーグ敗退を喫して3連覇を逃したブラジルは、ディフェンディングチャンピオンのイングランド、2大会前の決勝で優勝を争ったチェコスロヴァキア、ルーマニアと同組のグループ3に入り、初戦で2大会前の決勝の再戦となったチェコスロヴァキア戦を4-1で快勝して大会を白星でスタートさせた。
そして第2戦でディフェンディングチャンピオンのイングランドを1-0で、最終戦のルーマニア戦も3-2で下し、3戦全勝でグループリーグを首位で通過して準々決勝に進出した。準々決勝では同じ南米のペルーを4-2で下して、2大会ぶり5回目の準決勝進出を決めた。
こうして準決勝のカードは第4回ブラジル大会決勝の再戦となる南米同士のウルグアイ対ブラジルの顔合わせとなり、ウルグアイが勝てば20年ぶり3回目、ブラジルが勝てば2大会ぶり4回目の決勝進出となる。
試合(前半)
5分 ウルグアイのムヒカがジャイルジーニョを倒してイエローカードを貰う。
8分 ウルグアイのマネイロがミドルシュートを打ったがGKフェリックスの正面でゴールならず。
10分 ウルグアイのフォンテスがミドルシュートを打ったがGKフェリックスがセーブしてゴールならず。
17分 ウルグアイのフォンテスがエヴェルトンを倒してイエローカードを貰う。
19分 ウルグアイのモラレスがブリトの不用意なパスをカットして持ち上がり、右サイドのクビージャにパスを出し、クビージャが角度のない位置からシュートを決めてウルグアイが先制点を挙げる。(ウルグアイ1-0ブラジル)
20分 ウルグアイが左サイドのCKからモラレスが上げて、ルーズボールをコルテスがシュートを打ったが枠を外れてゴールならず。
31分 ブラジルが左サイドからジェルソンがウルグアイペナルティエリア内にクロスを入れ、ペレがヘディングで合わせたが枠を外れてゴールならず。
35分 ブラジルが右サイドのFKをリヴェリーノがチップキックで狙ったがGKマズルキェヴィチがセーブしてゴールならず。
36分 ウルグアイのマネイロがリヴェリーノを倒してイエローカードを貰う。
43分 ブラジルが左サイド25mのFKをペレが直接狙ったがGKマズルキェヴィチの正面でゴールならず。
45分 ブラジルが自陣エリアからボールを繋いで左サイドのトスタンのスルーパスからクロドアウドがシュートを決めてブラジルが同点に追いつく。(ウルグアイ1-1ブラジル)
45分 ブラジルのカルロス・アルベルトがイエローカードを貰う。
試合は南米王者のウルグアイペースで始まり、19分にブリトの不用意なパスをカットしたモラレスがクビージャにパスを出し、これをクビージャが決めてウルグアイが先制点を挙げた。その後もウルグアイペースで進んでいったが、30分頃からブラジルもチャンスを作り、ペレやリヴェリーノがウルグアイゴールを脅かしていった。そして前半終了間際にトスタンからのパスをクロドアウドがシュートを決めてブラジルが同点に追いついて前半を終了した。
試合(後半)
57分 ウルグアイのムヒカがミドルシュートを打ったが枠を外してゴールならず。
62分 ブラジルのペレが中央をドリブルで突破してウルグアイペナルティエリア外で倒されてFKを獲得し、ペレ自ら直接狙ったが枠を外してゴールならず。
64分 ウルグアイGKマズルキェヴィチのゴールキックがミスキックとなって直接ペレの前にいき、これをペレがダイレクトでウルグアイゴールにシュートを打ったがマズルキェヴィチにセーブされてゴールならず。
73分 ウルグアイがマネイロを下げてエスパラゴを投入。
76分 ブラジルのジェルソンが右サイドのジャイルジーニョにスルーパスを出し、ジャイルジーニョがドリブルで持ち込んでシュートを決めてブラジルが勝ち越し点を挙げる。(ウルグアイ1-2ブラジル)
82分 ブラジルが右サイドからのFKをリヴェリーノが直接狙ったが枠を外れてゴールならず。
85分 ブラジルが中盤でのパス回しからジェルソンがミドルシュートを打ったがGKマズルキェヴィチがセーブしてゴールならず。
89分 ウルグアイが左サイドからのクロスをクビージャが頭で合わせたがGKフェリックスがセーブしてゴールならず。
90分 ブラジルのカルロス・アルベルトのクリアボールを拾ったペレがドリブルで持ち上がってリヴェリーノにパスを出し、リヴェリーノが強烈な左足でウルグアイゴールに押し込み、ブラジルがダメ押しの3点目を挙げる。(ウルグアイ1-3ブラジル)
90+2分 ブラジルのトスタンからのスルーパスをペレとウルグアイGKマズルキェヴィチがペナルティエリア外で競り合い、こぼれ球にいち早く反応したペレががら空きのウルグアイゴールにシュートを打ったが枠を外れて惜しくもゴールならず。
後半に入ると60分過ぎ頃からブラジルが猛攻を仕掛けてウルグアイゴールに襲い掛かり、76分にジャイルジーニョがシュートを決めてブラジルが逆転に成功した。その後もブラジルの猛攻は続き、試合終了間際の90分にもリヴェリーノがダメ押しのゴールを決めて勝負あり、試合は3-1で終了してブラジルが2大会ぶりの決勝進出を決めた。
その後の両国
結局後半にブラジルとの力の差を見せつけられた格好になった南米王者のウルグアイだったが、16年ぶりに4強入りを果たして古豪復活を印象付ける形になった。しかし、この大会以降はワールドカップで優勝を争うことはなくなっていき、また本大会出場を逃すことも度々起きるようになっていった。
準々決勝と準決勝の対戦で同じ南米勢を撃破して2大会ぶりの決勝に進出したブラジルは、決勝で欧州王者のイタリアを4-1で破って2大会ぶり3度目の優勝を飾ることになった。この大会のブラジルはグループリーグから決勝までの6試合を6戦全勝の完全優勝を達成し、ワールドカップ史上でも最強の優勝チームとの評価を得ることになった。
出場選手(ウルグアイ)
GK 1 L・マズルキェヴィチ 1970年のワールドカップに出場。
DF 4 L・ウビーニャ Ⓒ 1966年、1970年のワールドカップに出場。
DF 2 アティリオ・アンチェタ 1970年のワールドカップに出場。
DF 3 ロベルト・マトサス 1970年のワールドカップに出場。
DF 6 J・ムヒカ 1970年のワールドカップに出場。
MF 10 I・マネイロ ▼73分 1970年のワールドカップに出場。
MF 20 J・C・コルテス 1962年、1966年、1970年のワールドカップに出場。
MF J・M・カスティージョ 1970年、1974年のワールドカップに出場。
MF 7 L・クビージャ 1962年、1970年、1974年のワールドカップに出場。後年ウルグアイ代表監督に就任する。
FW 15 D・フォンテス 1970年のワールドカップに出場。
FW 11 J・モラレス 1970年のワールドカップに出場。
FW 9 V・エスパラゴ △73分 1970年のワールドカップに出場。
監督 J・ホーベルグ 1954年のワールドカップに選手として出場して4位入賞し、1970年のワールドカップに監督として出場して4位入賞。
出場選手(ブラジル)
GK 1 フェリックス 1970年のワールドカップに出場。
DF 4 カルロス・アベラルド Ⓒ 1970年のワールドカップに出場。1960年代から1970年代のブラジルを代表する史上最高のディフェンダーの一人。
DF 3 ヴィウソン・ピアッザ 1970年、1974年のワールドカップに出場。
DF 2 ブリト 1966年、1970年のワールドカップに出場。
DF 16 エヴェラウド 1970年のワールドカップに出場。
MF 5 クロドアウド 1970年のワールドカップに出場。
MF 8 ジェルソン 1966年、1970年のワールドカップに出場。1960年代から1970年中盤のブラジルを代表する史上最高のミッドフィルダーの一人。
FW 7 ジャイルジーニョ 1966年、1970年、1974年のワールドカップに出場。1960年代中盤から1970年代のブラジルを代表する史上最高のウインガーの一人。
FW 9 トストタン 1966年、1970年のワールドカップに出場。1960年代から1970年代初頭のブラジルを代表する史上最高のオフェンシブミッドフィルダーの一人。
FW 10 ペレ 1958年、1962年、1966年、1970年のワールドカップに出場。1950年代中盤から1970年代のブラジルを代表する史上最高の選手であり、世界を代表する史上最高の選手。
FW 11 R・リヴェリーノ 1970年、1974年、1978年のワールドカップに出場。1960年代中盤から1970年代のブラジルを代表する史上最高の選手の一人であり、南米を代表する史上最高の選手の一人。後年J・リーグの清水エスパルスの監督に就任する。アルゼンチンのスーパスター・マラドーナが憧れた選手の一人。
監督 マリオ・ザガロ ブラジルを代表する史上最高の監督の一人。1950年代から1960年代中盤のブラジルを代表する史上最高の左ウインガーの一人。1958年と1962年のワールドカップに選手として出場して優勝し、1970年と1974年と1998年のワールドカップに監督として出場して1970年は優勝に導いている。
試合結果
1970年6月17日 エスタディオ・ハリスコ(グアダラハラ)
ウルグアイ 1-3 ブラジル
得点 L・クビージャ(ウルグアイ) 19分
クロドアウド(ブラジル) 45分
ジャイルジーニョ(ブラジル) 76分
R・リヴェリーノ(ブラジル) 90分