両チームの勝ち上がり状況
前シーズンにオランダリーグを制したアヤックスは、1回戦でアルバニアのKFティラナと対戦して2試合合計4-2で勝利して2回戦に進出した。2回戦ではスイスのバーゼルと対戦して2試合合計5-1で勝利して準々決勝に進出を決めた。準々決勝で前大会準優勝のスコットランドのセルティックと対戦し、2試合合計3-1で勝利して準決勝に進出した。準決勝ではスペインの強豪アトレティコ・マドリードと対戦して2試合合計3-1で勝利し、2大会ぶり決勝に進出を決めた。
一方、前シーズンにギリシャリーグを制したパナシナイコスは、1回戦でルクセンブルクのジュネス・エッシュと対戦して2試合合計7-1で快勝して2回戦に進出した。2回戦ではチェコスロヴァキアのスロバン・ブラチスラヴァと対戦して2試合合計4-2で勝利して準々決勝に進出した。そして準々決勝でイングランドの強豪エヴァートン、準決勝でユーゴスラヴィアのレッドスター・ベオグラードを、ともにタイスコアのアウェーゴールで下して初の決勝進出を決めた。
こうして1970ー1971チャンピオンズカップ決勝のカードはアヤックス対パナシナイコスの顔合わせとなり、ともに勝った方が初優勝となる。
試合(前半)
5分 アヤックスのカイザーが左サイドからパナシナイコスゴール前にクロスを入れ、ファン・ダイクがヘディングでゴールに押し込んでアヤックスが先制点を挙げる。(アヤックス1-0パナシナイコス)
10分 アヤックスのクライフが右サイドをドリブルで突破してクロスを上げ、ミューレンが頭で合わせたが枠を外れてゴールならず。
14分 アヤックスペナルティエリア内のルーズボールをバソヴィッチがクリアミスしてしまい、アントニアディスが頭で狙ったが枠を外れてゴールならず。
31分 アヤックスの右サイドのCKから流れたボールをクライフがシュートを打ったが枠を外れてゴールならず。
32分 アヤックスのクライフが中央をドリブルで持ち上がってシュートを打ったが、パナシナイコスDFにあたってゴールならず、さらに左サイドからのCKをカイザーがクロスを入れ、こぼれ球をバソヴィッチがシュートを打ったが枠を外れてゴールならず。
34分 アヤックスのニースケンスが右サイドからワンツーで抜け出してシュートを打ったが、GKイコノプロスがセーブしてゴールならず、さらにこぼれ球をファン・ダイクがシュートを打ったが枠を外れてゴールならず。
42分 パナシナイコスが左サイドからスルーパスを受けたカマラスがシュートを打ったが枠を外れてゴールならず。
44分 アヤックスが自陣エリアからファン・ダイクがロングフィードでクライフにパスを通し、クライフがドリブルで持ち込んでシュートを打ったがGKイコノプロスがセーブしてゴールならず。
試合は開始早々の5分にファン・ダイクがヘディングでパナシナイコスゴールに押し込んで、アヤックスが先制点を挙げた。その後もアヤックスペースで試合は進み、パナシナイコスは外からクロスを放り込む以外にチャンスをほぼ作れなかった。アヤックスもチャンスは数多く作ったが追加点を挙げるまでには至らず、前半は1-0のアヤックスリードでハーフタイムに入っていった。
試合(後半)
46分 アヤックスがラインダースとスワート下げてブランケンブルクとハーンを投入。
52分 アヤックスのブランケンブルクが左サイドから低いクロスを入れ、ハーンが合わせてシュートを打ったが枠を外れてゴールならず。
56分 パナシナイコスのカマラスがミドルシュートを打ったが枠を外れてゴールならず。
64分 アヤックスのミューレンがミドルシュートを打ったがGKイコノプロスにセーブされてゴールならず。
67分 パナシナイコスDFのクリアミスを拾ったクライフがシュートを打ったが枠を外れてゴールならず。
87分 アヤックスが自陣エリアから繋いでパスを回して攻め込んでいき、最後はハーンがパナシナイコスゴールに押し込んでアヤックスがダメ押しの追加点を挙げる。(アヤックス2-0パナシナイコス)
後半に入るとリードしているアヤックスが交代枠を2枚使って仕掛けていき、52分にブランケンブルクとハーンで決定機を作ったが惜しくもゴールにはならなかった。その後もアヤックスペースで進み、パナシナイコスはゴール前でのアイデアに乏しくチャンスを作れなかった。そして終了間際の87分にアヤックスのハーンが、試合を決定づける追加点を挙げて勝負あり、アヤックスがパナシナイコスを2-0で下してチャンピオンズカップ初優勝を遂げた。
その後の両チーム
2大会ぶり2度目の決勝進出で初優勝に輝いたアヤックスは、前年に優勝したフェイエノールトに続いて、2年連続でオランダにカップを持ち帰ることになった。しかし、インターコンチネンタルカップは出場を辞退した為、準優勝のパナシナイコスが出場することになり、ウルグアイのナシオナルと対戦して2試合合計2-3で敗れてタイトル獲得とはならなかった。
そしてアヤックスは翌シーズンのチャンピオンズカップにディフェンディングチャンピオンとして出場し、見事に優勝して連覇達成となり、オランダに三度(フェイエノールトも含めて)カップを持ち帰ることになる。
出場選手(アヤックス)
GK 1 H・シュタイ 1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。
DF 2 V・バソヴィッチ Ⓒ 1971年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。1960年代から1970年代初頭のユーゴスラヴィアを代表するスイーパー。
DF 3 W・サービエ 1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。
DF 4 B・ハルショフ 1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。後年アヤックスの監督に就任する。
MF 6 N・ラインダース ▼46分 1971年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。
MF 7 J・ニースケンス 1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。1970年代から1980年代中盤のオランダを代表する史上最高の選手の一人であり、欧州を代表する史上最高の選手の一人。
MF 9 G・ミューレン 1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。元オランダ代表のアーノルド・ミューレンは実弟である。
MF 14 J・クライフ 1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。1960年代中盤から1980年代初頭のオランダを代表する史上最高の選手であり、世界を代表する史上最高の選手の一人。後年アヤックスとバルセロナの監督に就任し、1992年にバルセロナの監督としてチャンピオンズカップ優勝に導いている。1971年、1973年、1974年にバロンドール受賞。
FW 8 S・スワート ▼46分 1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。
FW 10 D・ファン・ダイク 1971年、1972年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。
FW 11 P・カイザー 1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。1960年代から1970年代中盤のオランダを代表する史上最高の左ウインガーの一人。
DF 12 H・ブランケンブルク △46分 1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。
MF 15 A・ハーン △46分 1971年、1972年、1973年にアヤックスでチャンピオンズカップ優勝。1960年代終盤から1980年代中盤のオランダを代表するミッドフィルダー。
監督 R・ミケルス オランダを代表する史上最高の監督。1971年にアヤックスで監督としてチャンピオンズカップ優勝。
出場選手(パナシナイコス)
GK 1 T・イコノプロス
DF 2 Y・トマラス
DF 3 J・ヴラチョス
DF 6 F・スルピス
DF 11 A・カプシス 元ギリシャ代表ミカリス・カプシスは息子である。
MF 4 K・エレフセラキス
MF 5 A・カマラス
MF 7 C・グラモス
FW 8 T・フィラコウリス
FW 9 A・アントニアディス
FW 10 M・ドマゾス Ⓒ 1960年代から1970年代のギリシャを代表する史上最高の選手の一人。
監督 F・プスカシュ 1940年代から1960年代中盤のハンガリーを代表する史上最高の選手であり、世界を代表する史上最高の選手の一人。1959年、1960年、1966年にレアル・マドリードで選手としてチャンピオンズカップ優勝。
試合結果
1971年6月2日 ウェンブリースタジアム(ロンドン)
アヤックス 2-0 パナシナイコス
得点 D・ファン・ダイク(アヤックス) 5分
A・ハーン(アヤックス) 87分