両国の勝ち上がり状況
連覇を目指すディフェンディングチャンピオンのブラジルは、グループBに入り初戦のメキシコ戦を落として黒星スタートとなったが、残る2戦はきっちりと勝ちきって2勝1敗の2位通過で準々決勝に進出した。準々決勝ではグループリーグでも対戦したチリを6-1の大勝で下し、準決勝はウルグアイと2-2の延長PK戦の末に下して決勝に進出した。
一方、アルゼンチンはグループCに入り、3戦全勝で首位通過で準々決勝に進出した。準々決勝でペルー、準決勝でメキシコをそれぞれ快勝して、2大会連続で決勝に進出してきた。つまり決勝は2大会連続でブラジル対アルゼンチンの黄金カードとなり、ブラジルが勝てば連覇となる通算8回目の優勝となり、アルゼンチンが勝てばリベンジとなり大会最多を更新する通算15回目の優勝となる。
試合
前年のワールドカップドイツ大会でともに準々決勝で敗退し、それぞれ新しい指揮官のもと新チームになって1年が経ち、仕上がり状況を計る上でも格好の相手となった。試合は開始早々の4分、ブラジルのエラーノが右サイドからロングフィードで逆サイドにパスを通し、ジュリオ・バチスタがペナルティエリア内左サイド45℃の位置から豪快にシュートを決めてブラジルが先制点を挙げた。
いきなり先制パンチをもらったアルゼンチンは、前半9分に左サイドに流れたメッシがボールを貰い、メッシの折り返しをベロンが頭で落とし、リケルメがシュートを撃ったがポストを直撃して同点にはならなかった。その後は一進一退になるが、ややアルゼンチンペースで進んでいった35分、ベロンのくさびのパスをテヴェスが粘ってキープしたボールを再びリケルメがシュートを撃ったがまたしてもゴールにはならなかった。
すると前半40分、ブラジルが中央でパス回しをして右サイドのD・アウベスに渡し、D・アウベスがゴール前に折り返したボールをアヤラがクリアミスをして、まさかのオウンゴールとなってしまいブラジルが追加点を挙げた。結局前半は2-0のままブラジルリードで折り返し、いまいち波にのれないアルゼンチンはフラストレーションが溜まる形となってしまった。
後半に入っても状況は変わらず迎えた後半69分、アルゼンチンFKからのルーズボールを拾ったブラジルがカウンターを仕掛け、ロビーニョが前線のラヴにパスを出し、ラヴがドリブルで持ち込んで右サイドを駆け上がってきたD・アウベスにスルーパスを出した。そしてD・アウベスがそのままシュートを放ってアルゼンチンゴールに突き刺し、3点目を挙げてほぼ試合を決定づけた。
結局試合はこのまま終了して3-0でブラジルが勝利し、連覇となる通算8回目の優勝となった。準優勝となったアルゼンチンのメッシは、前年のワールドカップドイツ大会は控えでの参加だったため、今回のコパ・アメリカヴェネズエラ大会がレギュラーとしては初のメジャー大会出場だったがタイトル獲得とはならなかった。そして、ここからメッシのA代表のタイトル獲得に向けての長く苦しい闘いの歴史が始まるのである。
その後の両国
連覇で大会を終えたブラジルは、2010年のワールドカップ南アフリカ大会に向けて引き続きドゥンガ監督が指揮を執り、さらにチームの完成度を高めていくことになる。
準優勝に終わったアルゼンチンは引き続きバシーレ監督が指揮を執るが、2010年ワールドカップ南米予選中に辞任して新監督にはスーパースター・マラドーナが就任した。そしてマラドーナ監督のもと、2010年のワールドカップ南アフリカ大会に向けてチームを編成していくことになる。
出場選手(ブラジル)
GK 22 ドニ 2007年のコパ・アメリカに出場。
DF 2 マイコン 2004年、2007年、2011年のコパ・アメリカに出場。2000年代から2010年代のブラジルを代表する右サイドバック。
DF 4 フアン Ⓒ 2001年、2004年、2007年のコパ・アメリカに出場。
DF 3 アレックス 2007年のコパ・アメリカに出場。
DF 6 ジウベルト 2007年のコパ・アメリカに出場。
MF 7 エラーノ ▼34分 2007年、2011年のコパ・アメリカに出場。
MF 5 ミネイロ 2007年のコパ・アメリカに出場。
MF 17 ジョズエ 2007年のコパ・アメリカに出場。
MF 19 ジュリオ・バチスタ 2004年、2007年のコパ・アメリカに出場。
FW 11 ロビーニョ ▼90分 2007年、2011年、2015年のコパ・アメリカに出場。2000年代から2010年代のブラジルを代表するドリブラー。
FW 9 V・ラヴ ▼90分 2004年、2007年のコパ・アメリカに出場。
DF 13 D・アウベス △34分 2007年、2011年、2015年、2016年、2019年のコパ・アメリカに出場。2000年代から2010年代のブラジルを代表する名ディフェンダー。現在は・・・
MF 18 フェルナンド △90分 2001年、2007年のコパ・アメリカに出場。
MF 10 ジエゴ △90分 2004年、2007年のコパ・アメリカに出場。
監督 ドゥンガ 1980年代から1990年代のブラジルを代表するディフェンシブミッドフィルダー。1987年、1989年、1995年のコパ・アメリカに選手として出場し、1989年は優勝に貢献。2007年、2015年、2016年のコパ・アメリカに監督として出場し、2007年は優勝に導いている。
出場選手(アルゼンチン)
GK 1 R・アボンダンシェリ 2004年、2007年のコパ・アメリカに出場。
DF 8 J・サネッティ 1995年、1999年、2004年、2007年、2011年のコパ・アメリカに出場。1990年代から2010年代前半のアルゼンチンを代表する左サイドバック。
DF 2 R・アヤラ Ⓒ 1995年、1999年、2004年、2007年のコパ・アメリカに出場。1990年代から2000年代アルゼンチンを代表するセンターバック。
DF 15 G・ミリート 2007年、2011年のコパ・アメリカに出場。アルゼンチン代表フォワードのディエゴ・ミリートは実兄である。
DF 6 G・エインセ 2004年、2007年のコパ・アメリカに出場。
MF 14 J・マスチェラーノ 2004年、2007年、2011年、2015年、2016年のコパ・アメリカに出場。2000年代から2010年代のアルゼンチンを代表するボランチ、ディフェンダー。
MF 20 J・ベロン ▼67分 2007年のコパ・アメリカに出場。1990年代後半から2010年代前半のアルゼンチンを代表するゲームメーカー。
MF 19 E・カンビアッソ ▼59分 2007年、2011年のコパ・アメリカに出場。2000年代から2010年代のアルゼンチンを代表するミッドフィルダー。
MF 10 J・リケルメ 1999年、2007年のコパ・アメリカに出場。1990年代後半から2010年代前半のアルゼンチンを代表するミッドフィルダー。ジダンが唯一、プレースタイルが似ていると評したプレイヤー。
FW 18 L・メッシ もはや説明不要の超ド級のスーパースター。
FW 11 C・テヴェス 2004年、2007年、2011年、2015年のコパ・アメリカに出場。2000年代から2010年代のアルゼンチンを代表するストライカー。
MF 16 P・アイマール △59分 1999年、2007年のコパ・アメリカに出場。1990年代後半から2000年代前半のアルゼンチンを代表するミッドフィルダー。少年時代のメッシが憧れたプレイヤー。
MF 13 L・ゴンザレス △67分 2004年、2007年のコパ・アメリカに出場。
監督 A・バシーレ 1991年、1993年、2007年のコパ・アメリカに監督として出場し、1991年と1993年の連覇に導いている。
試合結果
ブラジル 3-0 アルゼンチン
得点 ジュリオ・バチスタ(ブラジル) 4分
R・アヤラ(OG) 40分
D・アウベス(ブラジル) 69分