大会概要とここまでの両国の勝ち上がり状況
1989年にブラジルで開催されたコパ・アメリカ大会は、南米10カ国を2グループに分けてグループリーグを行い、上位2カ国が決勝ラウンドに進出する。そして決勝ラウンドは4カ国で総当たりのリーグ戦を行って優勝国を決めるシステムになっている。
開催国のブラジルはグループAに入り、2勝2分の2位でグループリーグを突破して決勝ラウンドに進出してきた。ワールドカップチャンピオンのアルゼンチンはグループBに入り、2勝2分の首位でグループリーグを突破した。そして両国は決勝ラウンドの初戦で対戦することが決まった。
試合
試合はお互いに様子見あいながら始まって中盤での攻防が続き、決定機がないまま経過していった前半23分にドゥンガがロングシュートを放った。ここからブラジルがペースを掴んでボールをキープし、アルゼンチン陣内に攻め込んでいった。
前半28分にベベートのFK、35分にはシーラスがミドルシュートを撃ったがいずれも枠を外してゴールにはならなかった。アルゼンチンディフェンスが固く、ペナルティエリア内になかなか入り込めずにペナルティエリア外からのシュートしかチャンスを作れなかった。
一方のアルゼンチンはブラジルの5バックに手を焼き、ボールキープもままならずチャンスは皆無であった。結局前半はスコアレスのまま終了して折り返しを迎えることになった。
後半に入って早々の48分、左サイドからブランコがセンタリングを上げてシーラスが折り返し、ロマーリオがさらにフリーのベベートにボールを渡して、そのままボレーシュートをアルゼンチンゴールに叩き込んでブラジルが先制点を挙げた。さらに55分、左サイドからシーラスがクロスボールを上げるとブラウンがクリアミスをしてしまい、そのボールを拾ったロマーリオがアルゼンチンゴールに押し込んで追加点を挙げた。
立て続けに失点をしたアルゼンチンはカニージャ、ジュスティを投入したが一行にペースは変わらず、67分にドゥンガのFK、71分にはロマーリオの個人技からチャンスを作るなどブラジルが最後まで試合を優勢に進めていった。結局、試合は2-0のまま終了し、アルゼンチンは一度もチャンスを作れず完敗となった。
その後の両国
決勝ラウンドの初戦を勝利したブラジルは続くパラグアイ戦も勝ち、最終戦はウルグアイと2連勝通しの対決となった。そしてウルグアイ戦をロマーリオの決勝点で勝利して、ブラジルが通算4回目のコパ・アメリカ優勝を飾った。国内では批判となっている5バックだが7試合で1失点と結果は出しており、このままの戦術で1990年のワールドカップ南米予選に臨んでいくことになる。
一方のアルゼンチンは、続くウルグアイ戦も落とし最終戦のパラグアイ戦を引き分けて、最終的に3位で大会を終えた。メンバーは3年前のワールドカップ優勝時とほぼ変わらず、戦術も同じでチームの出来不出来はエース・マラドーナにかかっている。翌年のワールドカップにはディフェンディングチャンピオン枠として既に出場権を得ているため、南米予選は免除されている。
出場選手(ブラジル)
GK 1 C・タファレル 1989年、1991年、1993年、1995年、1997年のコパ・アメリカに出場。
DF 3 M・ガウボン 1989年のコパ・アメリカに出場。
DF 2 マジーニョ 1989年、1991年のコパ・アメリカに出場。スペイン代表のチアゴ・アルカンタラは息子である。
DF 14 アウダイール 1989年、1995年、1997年のコパ・アメリカに出場。
DF 6 リカルド・ゴメス Ⓒ 1987年、1989年のコパ・アメリカに出場。
DF 5 ブランコ 1989年、1991年のコパ・アメリカに出場。1980年代から1990年代前半のブラジルを代表する左サイドバック。
MF 17 ドゥンガ 1987年、1989年、1995年、1997年のコパ・アメリカに出場。1980年代から1990年代のブラジルを代表するディフェンシブミッドフィルダー。後にブラジル代表監督に就任し、2007年、2015年、2016年のコパ・アメリカに監督として出場し2007年は優勝に導いている。後年J・リーグのジュピロ磐田に選手として在籍。
MF 20 シーラス ▼75分 1987年、1989年のコパ・アメリカに出場。後にJ・リーグの京都パープルサンガに選手として在籍。
MF 9 ヴァウド 1987年、1989年のコパ・アメリカに出場。後にJ・リーグの名古屋グランパスに選手として在籍。
FW 7 ベベート 1989年のコパ・アメリカに出場。1980年代後半から1990年代のブラジル代表を代表するストライカー。後にJ・リーグの鹿島アントラーズに選手として在籍。
FW 11 ロマーリオ ▼75分 1987年、1989年のコパ・アメリカに出場。1980年代後半から1990年代のブラジルを代表する史上最高の選手の一人。
MF 15 アレマン △75分 1989年のコパ・アメリカに出場。
FW 18 レナト・ガウショ △75分 1983年、1989年のコパ・アメリカに出場。
監督 S・ラザローニ 1989年のコパ・アメリカに監督として出場し、優勝に導いている。後にJ・リーグの横浜F・マリノスに監督として在籍。
出場選手(アルゼンチン)
GK 1 N・プンピード 1983年、1989年のコパ・アメリカに出場。
DF 9 N・クラウセン 1983年、1989年のコパ・アメリカに出場。
DF 17 O・ルジェリ 1987年、1989年、1991年、1993年のコパ・アメリカに出場。1980年代から1990年代のアルゼンチンを代表するセンターバック。
DF 5 J・ブラウン 1983年、1987年、1989年のコパ・アメリカに出場。
DF 18 R・センシーニ 1989年のコパ・アメリカに出場。
MF 4 S・バティスタ 1987年、1989年のコパ・アメリカに出場。後にアルゼンチン代表監督に就任し、2011年のコパ・アメリカに監督として出場。
MF 6 J・ブルチャガ ▼59分 1983年、1989年のコパ・アメリカに出場。
MF 16 P・トログリオ 1989年のコパ・アメリカに出場。後にJ・リーグのアビスパ福岡に選手として在籍。
MF 3 J・バスアルド 1989年、1993年のコパ・アメリカに出場。
MF 7 G・カルデロン ▼55分 1989年のコパ・アメリカに出場。
FW 10 D・マラドーナ もはや説明不要の超ド級のスーパースター。
FW 8 C・カニージャ △55分 1987年、1989年、1991年のコパ・アメリカに出場。1980年代後半から2000年代前半のアルゼンチンを代表するストライカー。
MF 21 R・ジュスティ △59分 1983年、1987年、1989年のコパ・アメリカに出場。
監督 C・ビラルド アルゼンチンを代表する名将。1983年、1987年、1989年のコパ・アメリカに監督として出場。
試合結果
ブラジル 2-0 アルゼンチン
得点 ベベート(ブラジル) 48分
ロマーリオ(ブラジル) 55分